賃貸併用住宅を住宅ローンで購入する4つのメリット!注意点も解説

賃貸併用住宅を住宅ローンで購入する4つのメリット!注意点も解説
執筆者: 中西孝志

はじめに

親から相続した土地に「賃貸併用住宅を建てよう」と考える方は少なくありません。マイホームとして暮らしながら家賃収入も得られるのは大きな魅力ですが、自己資金だけでの建築は難しく、多くの人が住宅ローンの利用を検討します。

ただし、賃貸併用住宅の場合は通常の住宅ローンとはルールが異なっており、制度を把握せずに進めると融資を受けられない場合があります。

本記事では、賃貸併用住宅を住宅ローンで購入するメリットと注意点を整理します。​​賃貸併用住宅のローンの審査に通過するための対策も解説しているので、相続した土地の有効活用を考えている方はぜひ最後までご覧ください。

第1章 賃貸併用住宅とは?

賃貸併用住宅とは、自宅として居住する部分と、賃貸用に貸し出す部分を一つの建物の中に併設した住宅のことを指します。例えば、1階部分を自宅、2階部分を賃貸アパートとするケースや、自宅の一部をワンルームとして貸し出すケースなどがあります。

特に、相続した広い土地にそのまま自宅を建てると家が大きくなりすぎるケースでは、賃貸併用住宅が有効です。自分達の暮らしに合ったサイズの住まいを確保しながら、余った部分を賃貸に活用できるためです。また、固定資産税や相続税の面でもメリットがあり、小規模住宅用地の特例や相続税評価額の軽減措置を受けられる場合もあります。

一方で、自宅部分が不要な投資家や賃貸部分が不要なマイホーム購入者には敬遠されやすく、一般的な住宅やアパートに比べて買い手が付きにくいのがデメリットです。相続の際も、子どもがすでに自宅を所有している場合には扱いが難しくなるケースがあります。さらに、同じ建物に入居者と住むため、設備トラブルなどのクレームが直接オーナーに届く可能性も否めません。

このように、賃貸併用住宅には魅力がある一方で、リスクも秘めています。次章では、特に住宅ローンを活用して購入する場合にどのようなメリットがあるのかを、より具体的に見ていきましょう。

第2章 賃貸併用住宅を住宅ローンで購入する4つのメリット

賃貸併用住宅を建てる際には、不動産投資ローンではなく住宅ローンを利用できる場合があります。建物の50%以上を自宅として利用するなど一定の条件を満たす必要がありますが、その分、通常の投資用ローンにはないメリットを享受できます。賃貸併用住宅を住宅ローンで購入するメリットは以下の通りです。

2-1 不動産投資ローンよりも金利が低い

賃貸併用住宅を建てる際に住宅ローンを利用できる最大のメリットの一つは、金利の低さです。住宅ローンは自分が住む家を前提とした融資のため、金融機関から見ても返済不能になるリスクが低く、一般的に優遇された金利が適用されます。

これに対して、不動産投資ローンは投資による収益を前提としているため、空室や家賃下落といったリスクが考慮され、金利は高めに設定されています。実際に、不動産投資ローンでは年2%〜4%台になることもありますが、住宅ローンであれば変動金利なら1%前後で借りられるケースも多く、同じ借入額でも総返済額に大きな差が出ます。

例えば、3,000万円を35年ローンで借りた場合、金利1%なら総返済額は約3,560万円ですが、金利3%では約4,800万円になります。たった数%の差でも、35年のスパンを考慮すると1,000万円以上の負担差となり得るのです。

2-2 不動産投資ローンよりも返済期間が長い

不動産投資ローンは、返済期間が20年〜30年が上限に設定されている傾向があります。一方で、住宅ローンは35年〜50年が上限になっており、月々の返済額を大きく抑えることが可能です。

例えば、同じ3,000万円を借り入れた場合でも、25年返済と35年返済では毎月の負担に大きな差が出ます。金利1%で計算すると、25年返済では毎月の返済額は約11万円になりますが、35年返済なら約8万5,000円ほどに抑えられます。

もちろん、返済期間を長くすれば支払う利息の総額は増えますが、家賃収入を返済に充てられる賃貸併用住宅では、月々の負担を軽くしておくことが重要です。余裕を持った返済計画を立てられるのは、住宅ローンを選ぶ大きなメリットと言えます。

2-3 自宅部分に住宅ローン控除が適用される

住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てる場合、自宅として使用する部分については住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の対象となります。住宅ローン控除とは、年末のローン残高に応じて所得税や住民税の一部が控除される制度です。

住宅ローンの年末残高に控除率の0.7%をかけて求められる仕組みで、10年もしくは13年が控除期間として定められています。ただし、住宅の種類によって控除期間や最大控除額が異なる点には注意が必要です。

2-4 家賃収入をローン返済に充てられる

賃貸併用住宅では、家賃収入をローン返済に充てられます。通常のマイホームではローン返済は全て自己資金から賄う必要がありますが、賃貸併用住宅なら入居者が毎月支払う家賃を住宅ローンの返済に充当できます。

例えば、ローン返済額が月10万円で、賃貸部分から8万円の家賃収入が得られる場合、実質的な自己負担は2万円に抑えられます。返済額の大部分を家賃でカバーできれば、家計の負担を大きく軽減できるだけでなく、将来的にローンを完済すれば家賃収入がそのまま収益となります。教育費や老後の生活資金に充てられる点も、心強いポイントです。

もちろん、空室が発生すれば収入が減少するリスクはありますが、安定した賃貸需要のあるエリアであれば、ローン返済の負担を効率的に抑えることが可能です。

第3章 賃貸併用住宅を住宅ローンで購入する際の注意点

賃貸併用住宅を住宅ローンで購入する際の注意点は以下の通りです。

3-1 賃貸部分には住宅ローン控除が適用されない

住宅ローン控除は、マイホームを取得する際の大きな節税メリットですが、賃貸併用住宅の場合は注意が必要です。控除の対象となるのは自宅として居住する部分に限られ、賃貸に回している部分には適用されません。

例えば建物全体の床面積が200平方メートルで、そのうち120平方メートルを自宅、80平方メートルを賃貸にしている場合、住宅ローン控除の対象となるのは自宅部分である120平方メートル分のローン残高に相当する金額に限られます。

3-2 専用住宅ローンよりも審査基準が厳しい

賃貸併用住宅を住宅ローンで購入する場合、通常のマイホームよりも審査のハードルが高くなる傾向があります。なぜなら、賃貸併用住宅は自宅と投資用の両方の性質を持つため、金融機関にとって返済不能に陥るリスクが大きくなると考えられるからです。

そのため、返済負担率や自己資金の割合、勤務先や勤続年数といった項目は、専用住宅ローンよりも厳しく見られやすくなっています。特に自己資金については、物件価格の一部をしっかりと用意しているかどうかが重視され、頭金が少ない場合には融資の承認が難しくなるケースもあります。

また、建物の構造や立地条件が賃貸需要に合っているかどうかもチェックされます。入居者を確保しにくい間取りやエリアだと、賃料収入を返済にあてる計画の信頼性が低いと判断され、希望通りの融資を受けられないこともあるのです。

このように、賃貸併用住宅では返済能力と物件の収益性の両方を示すことが求められるため、専用住宅ローンに比べて審査の準備は入念に行う必要があります。

3-3 サブリースを指定される場合がある

賃貸併用住宅のローンを申し込む際、金融機関によってはサブリース契約を結ぶことを条件に融資が認められるケースがあります。サブリースとは、オーナーが賃貸部分を一括して管理会社に貸し出し、その会社が入居者に転貸する仕組みです。

オーナーは毎月一定の賃料を受け取れるため、空室が出ても収入が途絶えないという安心感があります。金融機関にとっても収入が安定すると判断できるため、審査を通しやすくする目的で条件として指定されるのです。

ただし、サブリースを契約した場合、管理会社から支払われる賃料は、実際の相場より低く設定されることが多く、オーナーが受け取れる収益は減ってしまいます。また、契約期間中に一方的に賃料を減額される可能性もあり、「思ったより利益が出なかった」という結果に繋がりません。せっかく相続した土地を有効活用しようと考えていても、サブリース契約の内容次第では自由度が制限されてしまうのです。

そのため、サブリースを条件にローンを組む場合には、契約書を細かく確認し、賃料の設定や減額条件について納得できるかを慎重に見極める必要があります。

第4章 賃貸併用住宅のローンの審査に通過するための対策

賃貸併用住宅は通常のマイホームよりも審査が厳しいため、融資を受けるには事前の準備が欠かせません。ここでは、特に効果的な3つの対策を紹介します。

4-1 物件価格の10%〜20%の頭金を用意する

賃貸併用住宅のローン審査を通過するためには、頭金をしっかりと用意しておくことが大切です。金融機関は融資の可否を判断する際、借り手の返済能力だけでなく、自己資金の有無も重視します。物件価格の10%〜20%程度を頭金として投入できれば、金融機関に対して「計画的に資金を準備している」という信頼感を与えることができ、審査を有利に進められるでしょう。

逆に、頭金がほとんどない状態で融資を申し込むと、「将来的に返済が苦しくなるのではないか」と判断され、希望通りの融資を受けられない場合や、金利条件が不利になる場合があります。例えば、建築費用が4,000万円の賃貸併用住宅であれば、最低でも400万円から800万円ほどは自己資金として確保しておくのが望ましいでしょう。

4-2 返済負担率を下げる

ローン審査では、返済負担率が重要な基準となります。返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額が占める割合のことです。一般的に、この割合が35%を超えると「返済能力に余裕がない」と判断され、住宅ローンの審査通過が難しくなります。

例えば、年収600万円の人が年間200万円の返済をしている場合、返済負担率は約33%です。この水準であれば許容範囲内とされますが、車のローンやクレジットカードのリボ払いなど、他の借入が多ければ基準を超えてしまうこともあります。

そのため、賃貸併用住宅のローンを申し込む前に、既存の借入をできるだけ整理しておくことが大切です。小規模な借入を完済しておくだけでも返済負担率は下がり、審査で有利になります。返済負担率を適正な範囲に収めることは、融資を通りやすくするだけでなく、将来的に無理のない返済計画を実現するためにも欠かせないポイントと言えるでしょう。

4-3 ペアローンや収入合算を検討する

単独の収入だけでは希望額の融資が難しい場合、夫婦でペアローンを組む、あるいは収入を合算する方法を検討するのも一つの手です。ペアローンとは夫婦それぞれがローン契約者となり、各自の年収をもとに融資額を設定できる仕組みです。双方の収入を反映できるため、借入可能額が大きくなり、希望する規模の賃貸併用住宅を建てやすくなります。

また、収入合算は夫婦のうち一方が主たる契約者となり、もう一方の収入を合算して審査を受ける方法です。こちらも世帯全体の収入を基準に審査が行われるため、単独では条件に届かないケースでも融資が通りやすくなります。

ただし、ペアローンも収入合算も、どちらかに万一のことがあった場合のリスクは考慮しなければなりません。例えばペアローンでは、それぞれが独立したローン契約者となるため、片方が返済できなくなった場合でも、もう一方の支払いが自動的に免除されるわけではなく、世帯全体で返済を続ける必要があります。収入合算の場合も、連帯保証や連帯債務といった責任を負う可能性があるため、いずれの選択をする場合でも慎重に検討する必要があるでしょう。

まとめ:賃貸併用住宅を検討しているならまずは不動産会社に相談しよう

賃貸併用住宅は、自宅として暮らしながら家賃収入を得られる点が大きな魅力です。住宅ローンを利用できれば、低金利・長期返済といったメリットを享受でき、自宅部分には住宅ローン控除が適用される可能性もあります。家賃収入を返済に充てることで家計の安定にも繋がるでしょう。

一方で、賃貸部分には控除が適用されない、審査基準が厳しい、サブリース契約を求められる場合があるなど注意点も存在します。頭金の準備や返済負担率の調整、ペアローンの活用といった工夫をしながら、計画的に進めることが大切です。

ただし、賃貸併用住宅は通常の住宅購入よりも複雑な部分が多く、迷う方が多くなっています。判断に迷った時には、不動産会社や司法書士・税理士といった専門家に相談し、制度や相続の面まで含めて検討すると安心です。

住まいの賢者では、司法書士法人グループに参加する不動産会社として、安心できる住まい選びをサポートしています。無料相談も承っておりますので、相続した不動産の活用でお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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