目次
はじめに
「田舎の家を売りたいのに、何年経っても売れない」「不動産会社に相談しても買い手が現れない」このように、田舎の家の処分方法に悩む方は珍しくありません。
都市部に比べ、田舎の家は売却に時間がかかることが多く、なかには「タダでもいらない」といった状態に陥る物件もあります。
本記事では、田舎の家がなぜ売れないのか、売却に失敗しがちな理由を解説します。売れない場合の対処法を参考にして、負動産化させないようにしましょう。
第1章 なぜ田舎の家は売れないのか?
田舎の家が売れない原因は一つではありません。需要の低さや建物の老朽化、法的な制約など、複数の要素が重なっているケースがほとんどです。
では、田舎の家が売れないよくあるケースを見ていきましょう。
1-1 立地や需要の問題
田舎の家が売れない最大の理由は「買い手が少ない」という需要の問題です。人口減少と高齢化が進む地方では、そもそも不動産を購入したい人がほとんどいない地域もあります。
また、交通の便が悪かったり、最寄り駅やスーパー、病院が遠いなど生活利便性が低い立地では、都市部の人が移住を検討する際の候補にもなりづらいのが実情です。
つまり、どんなに物件が魅力的でも、住みたい人がいないのが根本的な問題です。
1-2 老朽化・管理不全のリスク
田舎の家は空き家状態で長年放置されていることが多く、雨漏りやシロアリ被害、カビや構造劣化などの問題を抱えているケースもあります。
このような物件では、住むにはリフォーム必須という印象を与え、購入希望者の選択肢から外れることが多いでしょう。
また、庭の草木が伸び放題だったり、ゴミが放置されているなど、外観の印象が悪い物件も多く見られます。
見た目の悪さは想像以上に売れ行きに影響するため、売る前の最低限の管理・清掃は必須です。
1-3 再建築不可・接道義務違反など法的な問題がある
見落としがちですが、売却できない家には「再建築不可」や「接道義務違反」の土地が含まれていることもあります。建築基準法上の道路に2メートル以上接していない土地では、新たに家を建てることができません。
法的制約のある土地は、住宅ローンが組めなかったり、リフォームしても資産価値が上がらなかったりと、買い手にとってデメリットが多いため敬遠されます。
売却前に、法的な問題がないか法務局や自治体で確認しておくことが重要です。
1-4 価格設定が合っていない
売れない理由の一つに「価格が市場に合っていない」というケースも多く見られます。
特に、思い入れのある実家などは、相場以上の希望価格を設定してしまいがちです。
また、田舎の家の価格は都市部に比べて大きく落ちるため、過去の取得価格やリフォーム費用を元に値付けしてしまうと、まったく売れない状態に陥ります。
家を早めに売りたい場合は、現実の市場に合わせた冷静な価格設定が必要です。
第2章 田舎の家が売れないリスク
田舎の家を売りたいのに売れないまま放置しておくと、さまざまなリスクが発生します。
「売れないから仕方ない」と放置しておくと、時間の経過とともに物件の価値はさらに下がり、最終的には負動産化する可能性もあります。
では、田舎の家が売れないリスクを見ていきましょう。
2-1 固定資産税などの税金が毎年かかる
住んでいない家であっても、所有している限り毎年「固定資産税」がかかります。
田舎の家は評価額が低いこともありますが、敷地が広かったり、長年空き家状態になっていると「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が外されるリスクも考えられるでしょう。
住宅用地特例が適用されなくなると、固定資産税は最大6倍にも跳ね上がります。物件の老朽化が進むほど修繕費や管理費もかさみ、経済的負担は年々増えていきます。
収益を生まない不動産にかかる税金は、まさに見えない赤字です。
2-2 犯罪・災害のリスクがある
空き家は防犯・防災の観点からも重大なリスクを抱えています。
長期間放置された家は、窓やドアの鍵が壊れていたり、草木に覆われて外から見えづらくなっていたりと、不法侵入や不審火の格好の標的になります。
実際に、空き家での放火や盗難、ごみの不法投棄といった被害は全国的に増加傾向にあります。さらに、台風や地震による倒壊や飛散物の被害が発生した場合、所有者が賠償責任を問われることも珍しくありません。
物理的に離れて暮らしていると管理も難しく、リスクはさらに増大します。放置は、所有者の知らないうちに責任問題へと発展するため注意しましょう。
2-3 資産価値が低下する
売却せずに放置された田舎の家は、年々その資産価値が下がっていきます。
建物は劣化し、修繕が必要になるだけではなく、土地も市場でのニーズが落ち込み、売却できる可能性がどんどん減っていきます。
特に、限界集落やインフラ整備が進んでいない地域では「今は売れないけど将来使えるかも」という期待が通用しないことも多いでしょう。
資産を持っているだけで価値が保たれる時代は終わりつつあります。資産価値が落ちきる前に、売却や活用などの判断が必要です。
第3章 田舎の家が売れないときに取るべき対処法
田舎の家がなかなか売れない場合でも、戦略を見直せば道は開けます。売却を目指すためにも、できることがないかチェックしましょう。
では、田舎の家が売れないときに取るべき対処法を解説します。
3-1 相場を正しく見直す
まず最初にすべきことは、正しい相場の把握です。
思い込みや感情に左右されず、現実的な売却価格を設定する必要があります。
以下は、相場を見直すために有効な手段です。
- 不動産サイトで周辺の売却事例を調べる
- 路線価や固定資産税評価額を確認する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 一括査定サイトで比較する
現実的な価格帯を見極め、適正価格に見直すことで買い手が付きやすくなるため、売れない場合は相場を再度確認しましょう。
3-2 解体して更地にする
建物が老朽化している場合や使い道がない場合は、いっそ解体して更地にする方法もあります。更地にすることで土地としての価値を明確にでき、再活用を検討しやすくなるため、買い手が見つかりやすくなるでしょう。
ただし、解体費用は数十万円〜100万円以上かかる場合があり、費用対効果を見極める必要があります。また、土地が再建築不可の場合、更地にしてしまうことで建物を建てられない使い道のない土地になってしまう恐れがあるため、事前に法的制約を確認しましょう。
なお、どうしても手放したい場合には「相続土地国庫帰属制度」を活用する方法もあります。相続土地国庫帰属制度とは、不要な土地を一定の条件下で国に引き取ってもらう制度で、2023年4月にスタートしました。
解体や測量などの条件を満たす必要はありますが、処分の選択肢として有効です。
3-3 買取業者に直接売却する
「今すぐ手放したい」「売却活動が面倒」「早く現金化したい」という場合には、不動産買取業者に直接売却する方法もあります。
仲介による買い手探しに比べてスピーディで、価格交渉も少なく済む点がメリットです。
買取価格は市場価格よりも安くなることが一般的ですが、売れないまま何年も維持費を払い続けるリスクと比較すると、早期処分のメリットは大きいといえます。
空き家専門の買取業者やリフォーム再販業者など、目的に合った業者選びが成功の鍵です。
3-4 空き家バンク・自治体のサポートを使う
近年は自治体が主体となって運営する「空き家バンク」や、空き家対策支援制度も充実してきています。空き家バンクに登録することで、地域への移住希望者やリモートワーカーとのマッチングが期待できます。
また、解体費用やリフォーム補助を提供する自治体もあり、自治体の制度を活用すれば、負担を軽減しながら売却を目指すことも可能です。
まずは物件所在地の市町村役場や自治体のホームページで情報をチェックしましょう。
第4章 田舎の家を売却する場合の注意点
田舎の家を売却する際には、都市部の不動産売買とは異なる注意点がいくつもあります。
法的な整備や物件状況の確認、相続や共有の問題など、見落としやすいポイントを把握しておくことで、スムーズな売却が可能となるでしょう。
では、田舎の家を売却する場合の注意点を解説します。
4-1 隣地との境界を確定させる
田舎の物件では、土地の境界が曖昧なことが珍しくありません。
売却するには、土地の範囲が明確になっていることが大前提です。特に農村地帯では「昔からの慣習」で土地が使われているケースも多く、登記情報と実際の利用状況にズレがあることがあります。
境界が不明瞭なままでは、買主が不安を感じたり、トラブルのもとになりかねません。
隣接地所有者との立会いや境界確認を行い、境界確認書や筆界確認書を取り交わしておくことが理想です。
4-2 相続登記を完了させる
売却前には、必ず相続登記を済ませておく必要があります。
被相続人(故人)の名義のままでは売却ができません。2024年4月から相続登記は義務化されており、正当な理由がないまま3年以内に登記しない場合、過料の対象となります。
相続登記には戸籍や遺産分割協議書などの書類が必要で、専門知識が求められる場面も多いでしょう。
手続きに不安がある場合は、司法書士に相談することでスムーズに進められます。
4-3 空き家の解体が必要か確認する
家が老朽化している場合や、倒壊リスクがある場合は、売却前に解体を検討する必要があります。空き家を残したままでは買い手が現れにくく、売れたとしても解体費用分を値下げせざるを得ないこともよくあります。
ただし、解体すればよいとは限りません。再建築不可の土地を更地にしてしまうと、逆に資産価値が下がる場合もあります。売却前に不動産会社や建築士に相談して「解体した方が良い物件かどうか」を見極めましょう。
4-4 共有名義の空き家は所有者全員の合意を得る
田舎の家は相続により、兄弟姉妹など複数人の共有名義になっていることもよくあります。
この場合、売却には全員の同意が必要です。一人でも反対する人がいれば、売却を進めることはできません。
また、共有者が行方不明・連絡不通・高齢で判断能力がないといったケースでは、家庭裁判所の手続きが必要になる場合もあります。
共有名義の物件を売却する際は、早めに全員と話し合い、同意を得る準備を始めましょう。
第5章 田舎の家を手放す際に考えるべきこと
田舎の家を売却・処分するにあたっては、感情や家族関係、将来のライフプランなど、不動産取引以外の要素が関わってきます。
では、田舎の家を手放す際に確認しておきたい4つの視点を解説します。
5-1 感情と資産価値は分けて考える
田舎の家には、思い出や家族の歴史が詰まっていることが多く「祖父が建てた家だから」「実家を手放すのは心苦しい」など、感情的な理由で売却を躊躇してしまうことがあります。
しかし、感情と資産価値は切り離して考えることが必要です。
維持できる余裕があるか、活用の見込みがあるかを冷静に判断しないと、結果的に誰も使わない・売れない・費用だけかかる物件として負担が残ります。
思い出は大切にしつつも、合理的な判断をすることが求められます。
5-2 家計・ライフスタイルに合った判断か考える
固定資産税や維持管理費、リフォーム費など、田舎の家を所有し続けるには相応のコストがかかります。定年後の移住や週末利用を考えていても、実際に使わなければそれらの支出が無駄になることも珍しくありません。
現実的にその家を維持できるライフスタイルか、家計的に継続可能かどうかを見極める必要があります。利用頻度が低く、将来の見通しも立たない場合は、早めに売却・譲渡などの選択肢を検討しましょう。
5-3 相続人・家族との同意は取れているか確認する
田舎の家をどうするかについては、自分だけでなく相続人や家族とも方向性を一致させておくことが重要です。あとになって「話を聞いていない」「売ることに反対だ」といったトラブルになるケースもよくあります。
特に、兄弟姉妹で共有している場合や、将来的に子どもが関与する可能性がある場合には、早い段階で意見を共有しておくとスムーズに進みます。
感情面でのしこりを残さないよう、丁寧な話し合いが必要です。
5-4 売却・放棄以外の選択肢も検討したか確認する
田舎の家を手放す方法は、売却だけではありません。
賃貸・民泊運用・空き家バンク登録・NPOや自治体への寄付・相続土地国庫帰属制度の活用など、多くの選択肢があります。
地域活性化やリモートワーカーの需要がある地域では、思わぬ形で活用されることもあります。「売れないから処分」と決めつける前に、選択肢を広げて検討してみることが、後悔しない判断につながります。
まとめ:田舎の家は売れる形に変えればチャンスがある
田舎の家が売れないからと、老朽化や管理不足などの課題を放置していると、資産はどんどん負動産化していきます。
買い手の目線に立って、売れる形に整えていけば、田舎の家でも売却できるチャンスは十分にあります。専門家の力を借りることで、自分ひとりでは難しい手続きや対策もスムーズに進めることができるため、まずは早めに相談することがおすすめです。
大切なのは、放置せずに向き合うことです。田舎の家を「困りごと」から「チャンス」へ変える一歩として、今できることから始めていきましょう。
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