親の家を売る方法と注意点|売却時にかかる税金と活用方法を解説!

親の家を売る方法と注意点|売却時にかかる税金と活用方法を解説!
執筆者: 中西孝志

はじめに

少子高齢化が進む日本において、親の家をどうするかは多くの家庭が直面する課題です。

親が高齢となり施設に入る、もしくは他界した後、住む人がいなくなった家をどう扱うかは、早めに考えておく必要があります。

「とりあえずそのまま」では、固定資産税や管理負担だけが残ることになるため、資産価値を保つためにも、売却などの選択肢を検討しておくことが重要です。

本記事では、親の家を売る方法を3パターンに分けて解説します。売却時にかかる税金や高く売るためのポイントを押さえましょう。

第1章 親が元気なうちに家を売却する場合の流れ

親がまだ元気で意思確認ができるうちに家を売る「生前売却」は、相続トラブルを避けるためにも有効な選択肢です。

以下のステップを踏んで、トラブルのないスムーズな売却を目指しましょう。

STEP① 権利関係を確認する

まずは、その家の名義人が誰かを確認しましょう。

登記簿謄本を取得することで、所有者情報や抵当権の有無などを確認できます。名義が両親や祖父母、兄弟姉妹との共有になっている場合は全員の同意が必要です。

また、過去の贈与や借入の担保設定が残っていることもあるため、早い段階で法的な状況を洗い出しておくことが大切です。

STEP② 親や相続人と意思確認をする

親本人が売却に同意しているかだけではなく、将来的に相続人になる家族とも事前に話し合いを行いましょう。

「売る・売らない」「売却代金の扱い」「遺産分割の方針」などを共有しておくことで、後々のトラブルを防げます。

口頭だけでなく、可能であれば同意書やメモを残しておくとベストです。

STEP③ 不動産査定を依頼する

売却価格の目安を知るためには、不動産会社への査定依頼が必要です。

複数社に依頼する一括査定サイトの利用などで、相場感を把握しておきましょう。

古い家であっても、立地や接道状況によっては高値がつくこともあるため、プロの目で判断してもらうことが重要です。

STEP④ 税金や特例を調査する

親の自宅を売却する際は、3,000万円特別控除居住用財産の軽減税率などの特例が利用できる場合があります。

ただし、適用条件があるため、税理士や不動産会社に確認するとより安心です。早めに調べて、思わぬ税負担がないように準備しておきましょう。

STEP⑤ 売却活動を開始する

不動産会社と媒介契約を結び、物件情報をインターネットやチラシなどで公開してもらいます。内覧に備えて家の整理整頓やリフォーム、ハウスクリーニングを行うと、印象が良くなり売れやすくなります。

売却期間は、平均3〜6ヶ月程度を見込んでおくとよいでしょう。

STEP⑥ 契約・引渡しをする

買主が決まったら、売買契約を締結して売却代金の支払い・物件引渡しへと進みます。

この際に、必要書類の準備や登記手続きなどが発生するため、不動産会社や司法書士に依頼してサポートしてもらうと安心です。

STEP⑦ 確定申告を行う

売却によって利益が出た場合は、翌年の確定申告が必要です。

3,000万円特別控除などの特例は、条件を満たしていても確定申告を行わなければ適用を受けることができないため、忘れずに手続きしなければなりません。

税理士に相談すれば、控除の適用や経費計上のアドバイスが受けられるため、活用しましょう。

第2章 親が亡くなってから家を売却する場合の注意点

親が亡くなった後に家を売る場合、相続の手続きと売却の準備を並行して進める必要があります。

では、親が亡くなってから家を売却する場合の注意点を見ていきましょう。

2-1 相続登記は必ず行わなければならない

2024年4月からは、不動産を相続した場合の相続登記が義務化されました。

相続登記の義務化によって、相続人が不動産を取得した場合、取得を知った日から3年以内に登記申請する必要があります。

一方、不動産を売却するためには、相続登記に限らず、名義変更が必要です。たとえ相続人が確定していても、登記名義が被相続人のままでは、不動産の売却や移転登記は法的にできません。

つまり、売却するためには相続登記を済ませておく必要があり、加えて相続登記を怠ると法律違反となるため注意しましょう。

2-2 相続人全員の合意が必要

不動産を売却するには、登記上の所有者全員の同意が必要です。

相続によって取得した不動産の場合は、まず遺産分割協議によって所有者を確定する必要があります。

遺産分割協議は、法定相続人全員の合意がなければ成立しません。合意が得られていない状態では、名義変更も売却も行うことはできないため注意しましょう。

円滑な売却を目指すためには、遺産分割協議書の作成と署名捺印が必要不可欠です。場合によっては、弁護士を交えた調整も検討しましょう。

対立を避けるためにも、第三者の介入が役立つケースがあります。

2-3 相続税の申告期限の確認

相続税が発生する場合は、相続開始から10か月以内に申告・納税を行う必要があります。

売却代金を相続税の納税資金に充てるケースもあるため、タイミングに注意しましょう。税理士と相談のうえ、納税計画を立てておくことをおすすめします。

また、申告を怠ると延滞税や加算税が発生するため、早めに財産評価や相続人の間で協議を進めておくと安心です。不動産評価は専門的な知識が必要なため、鑑定士や税理士などの専門家の協力を得ることが好ましいでしょう。

第3章 施設に入った親の家を売却する場合の注意点

親が老人ホームや介護施設に入居し、自宅が空き家となった場合、売却には注意すべき点があります。

特に、名義人が認知症を発症していたり、住民票を移していた場合、通常の売却とは異なる手続きや制限が発生します。

では、施設に入った親の家を売却する場合の注意点を見ていきましょう。

3-1 親が認知症の場合は成年後見制度を利用する

親が認知症を患っており、意思確認ができない場合は、不動産売却を進めることができません。このような場合は、家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立てる必要があります。

成年後見制度とは、家庭裁判所が後見人を選任し、その後見人が財産管理や契約手続きを代行する制度です。ただし、売却行為は親の資産を減らす行為と判断されるため、たとえ後見人であっても家庭裁判所の許可が必要となります。

後見制度の利用には時間と手続きがかかり、売却のタイミングにも影響します。親の状態が悪化する前に、家族で方針を話し合っておくことが望ましいでしょう。

3-2 住民票を施設に移した場合は特例が受けられない可能性がある

親が施設に入ったことで住民票を移した場合、その自宅は「居住用財産」として扱われなくなる可能性があります。そのため、売却時に利用できる「3,000万円特別控除」などの税制優遇が適用外となるリスクも考えられるでしょう。

ただし、状況によっては住民票を移していても、引き続き「居住用」と認められるケースもゼロではありません。例えば、親が介護施設への一時的な入所であること、家財道具がそのまま残っていることなどが条件として考慮される場合があります。

このあたりの判断は曖昧になりやすいため、売却前に税理士や不動産会社に相談し、控除の適用可否を確認することが重要です。

第4章 親の家を売るときにかかる税金

親の家を売却する際は、想像以上に多くの税金や費用が発生します。

では、親の家を売るときにかかる税金の種類や利用できる特例を見ていきましょう。

4-1 利用できる主な税金特例

親の家を売却する際は、以下の税金特例を利用できる可能性があります。

3,000万円特別控除親が居住していた家を売る際、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる
軽減税率の特例10年以上所有していた場合、譲渡益に対する税率が軽減される
相続空き家の特例相続後3年以内に売却するなどの条件を満たすと、3,000万円の特別控除が適用される

これらの特例は併用不可なものもあるため、条件や適用範囲については事前に税理士に確認しておくと安心です。

4-2 確定申告が必要なケース

不動産を売却して利益が出た場合は、必ず確定申告が必要です。たとえ控除によって非課税となる場合でも、申告を行わないと特例が適用されません。

確定申告の時期は翌年2月16日〜3月15日までとなります。売買契約書や登記簿謄本、取得費の証明書類(購入時の契約書など)、譲渡費用の領収書などの必要書類があるため揃えておきましょう。

取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とする「みなし課税」が適用されてしまうため注意が必要です。古い家で書類が残っていない場合は、不動産会社に過去の取引情報を問い合わせるなどの対応を取りましょう。

4-3 税金以外にかかる費用

不動産の売却には税金以外にも、以下の費用がかかる場合があります。

ハウスクリーニング費用内覧前の清掃や不用品処分など
リフォーム・修繕費用傷みが激しい箇所の補修など、印象をよくするための費用
測量費用・境界確定費用土地の境界が不明確な場合に必要
司法書士報酬相続登記や売却時の登記手続きを依頼する場合の費用

必ずしもかかる費用ではありませんが、長年住んでいた家を売る場合は発生するケースが多いため、費用を正確に見積もりましょう。

売却価格や譲渡益に対してどの程度の利益が残るかを事前に計算しておくことが重要です。

第5章 親の家を高く売るためのポイント

親の家を売却する際、少しの工夫や準備で売却価格が大きく変わることがあります。築年数が古くても、適切な対策によって相場以上の価格で売却できる可能性もあるでしょう。

では、親の家をできるだけ高く売るために意識しておきたいポイントを紹介します。

5-1 査定前に懸念点を解消する

売却に出す前に、物件のマイナス要素をできる限り取り除いておくことが重要です。

たとえば雨漏りや床の軋み、外壁の劣化といった物理的な不具合や、不用品の放置・悪臭など、買主の印象を下げる要素を事前に改善しておくことで、査定額にポジティブな影響を与えます。

大がかりなリフォームをしなくとも、最低限のクリーニングや修繕、整理整頓だけでも十分な効果が見込めます。また、空き家期間が長い場合は、草刈りや害虫対策などのメンテナンスも忘れずに行いましょう。

5-2 慎重に不動産会社選びをする

不動産会社によって得意とするエリアや物件タイプ、営業力には大きな差があります。

売却価格を高めたいのであれば、一括査定サイトなどを活用し、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

査定額だけではなく、売却戦略の提案内容や担当者の対応の丁寧さ、地元での販売実績なども比較することが重要です。

また、他社への情報提供を渋るなど囲い込みを行う不動産会社には注意が必要です。気持ちよく売却をするためにも、オープンで透明性のある取引をしてくれる会社を選びましょう。

5-3 売却時期を見極める

不動産市場には、売れやすい時期と売れにくい時期があります。

一般的には、春(3〜4月)や秋(9〜11月)が引っ越しや住み替えの需要が高く、成約件数も増える傾向にあります。

このタイミングを見計らって売却活動を始めることで、多くの買い手に見てもらえるチャンスが増えるでしょう。売却を急いでいない場合は、あえて需要期に向けてタイミングを調整することも戦略のひとつです。

また、金利や景気動向、政策変更など外部環境も影響するため、情報収集は常に行いましょう。不動産会社と相談しながら、市場に出すベストなタイミングを見極めることが、高値売却への近道です。

第6章 親の家を売らずに活用する選択肢

親の家を売却せず、別の形で活かす選択肢も有効です。

感情的な理由や、立地・建物の状態によって「まだ使える」「売るのは惜しい」と思う方も多く、うまく活用すれば収益や生活の質向上につながります。

では、親の家を売却せずに活用する方法と、メリット・デメリットを整理して紹介します。

6-1 賃貸に出す

メリット・安定した家賃収入を得られる
・資産を手放さずに収益化できる
デメリット・管理業務が発生する
・空室リスク、設備トラブルの対応が必要
・リフォーム費用がかかる

親の家を第三者に貸し出すことで、毎月一定の家賃収入を得ることができます。

特に、地方都市や観光地では、戸建て住宅のニーズが意外と高いケースもあり、リフォーム次第で人気物件になる可能性もあるでしょう。

ただし、賃貸に出すには建物の安全性や設備の機能性を担保する必要があり、最低限の修繕や準備が必要になります。

6-2 リフォームして自分や親族が住む

メリット・思い出のある家を引き継ぎながら、住環境をアップデートできる
デメリット・築年数が古い家は大規模な改修が必要になる

親の家を自分たちで住む家として再利用するケースも増えています。二世帯住宅として活用したり、子ども世帯の住まいにしたりと、柔軟な使い方が可能です。

最近では、テレワークや地方移住の流れもあり「親の家で暮らす」選択に価値を見出す方も増えており、行政の移住支援やリフォーム補助金などを活用できる場合があります。

ただし、自分のライフスタイルに合っているか、家族の意向はどうかなどは考慮すべきポイントです。

6-3 更地にして活用する

メリット・土地の活用幅が広がる
・用途に応じた運用が可能である
デメリット・解体費用が高額になる
・更地にすると固定資産税が上がる
・再建築不可の土地だと売却や活用が困難になる

家が老朽化しすぎていて住むのも貸すのも難しい場合は、思い切って解体して更地にする選択肢もあります。土地にしてしまえば、使い道は一気に広がるでしょう。

ただし、それぞれにコストとリスクが伴います。自分たちのライフプランや家族構成、地域の需要などを踏まえた上で、最適な選択をすることが重要です。

まとめ:親の家は放置せず動けば資産になる!

親の家をどうするかは、感情だけではなく法的・経済的な観点からもしっかり判断することが求められます。

特に、相続後は対応を先延ばしにすればするほど手続きが煩雑になり、不要な税金やコストが発生するリスクもあります。親が元気なうちに売却や活用の方針を話し合っておくことが、家族全員にとっての安心材料となるでしょう。

親の家はただの不動産ではなく、家族の歴史が詰まった大切な資産でもあります。しっかり向き合って「後悔しない選択」をすることが重要です。

「住まいの賢者」では、司法書士と連携して、相続登記から活用・売却・放棄の相談まで一括で対応しています。親の家を放置することでリスクや費用が膨らむ前に、ぜひ無料相談をご活用ください。

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この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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