目次
はじめに
空き家を相続した際や、住まなくなった家を売却する際に、「リフォームしてから売却した方が良いのか?」と悩む方は多いでしょう。リフォームには費用がかかる一方で、売却価格が上がるケースもあるため、実施するかどうかの判断が難しくなっています。そのため、売却を検討している不動産をリフォームするか迷った際は、不動産会社に相談するのがおすすめです。
本記事では、空き家をリフォームしてから売却することのメリット・デメリット、費用相場などを解説します。リフォームによって売却益が高くなりやすい空き家となりにくい空き家についても紹介しているので、空き家のリフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
1章 空き家をリフォームしてから売却するメリット
空き家をリフォームしてから売却することで、以下のようなメリットが期待できます。
1-1 買い手が見つかりやすくなる
築年数が経過した空き家は、老朽化や汚れが目立つことが多く、そのままでは「住むために追加で費用がかかる」と敬遠されやすい傾向があります。しかし、事前にリフォームを施しておけば、購入者が入居後すぐに生活を始められる状態になるため、需要が高まりやすくなります。
また、住宅ローンを利用する購入者にとっても「購入直後に追加のリフォーム資金が不要」という点は大きな魅力です。ローンとリフォーム費用を二重に負担する必要がなくなるため、購入の意思決定を後押しする効果も期待できます。
1-2 査定・内覧でプラスの印象に繋がる
不動産会社が行う査定や、購入希望者が訪れる内覧の場では、第一印象が非常に重要です。築年数が古くても、壁紙の張り替えやフローリングの補修、キッチンや浴室といった水回りの改修をしておけば、清潔で手入れの行き届いた家という印象を与えられます。
見た目が整っている物件は、築年数が経過していても、購入希望者に安心感を与えます。特に水回りは生活に直結するため、古さが目立つと大きな減点に繋がりますが、新しくリフォームされていれば、査定額の上昇や、購入検討者からの前向きな反応を期待できるでしょう。
また、内覧時に入居後の生活をイメージしやすい点も大きなメリットです。清潔で機能的な状態に整えられた家は、購入希望者に「ここで暮らしたい」という気持ちを起こさせ、売却活動をスムーズに進めやすくなるでしょう。
1-3 特定空き家の指定を避け、固定資産税の負担を軽減できる
空き家を放置すると、管理不全と判断され特定空き家に指定されるリスクを秘めています。特定空き家に指定されると住宅用地特例の適用が外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる場合もあります。
しかし、リフォームを行い適切に管理された状態にしておけば、特定空き家に指定される可能性を低く抑えられます。結果として、余計な税負担を避けながら資産価値を維持でき、売却に向けた準備を有利に進められるのです。固定資産税の負担増を防げる点は、リフォームしてから売却する大きなメリットと言えるでしょう。
2章 空き家をリフォームしてから売却するデメリット
空き家ををリフォームしてから売却することは、メリットばかりではありません。ここでは、空き家をリフォームしてから売却するデメリットを紹介します。
2-1 リフォームをしても売却額が変わらないケースがある
リフォーム費用を売却で回収できるかどうかは、物件の立地や状態、市場環境に左右されます。築年数が古い、損傷が激しい、シロアリ被害がある、駅から遠いといった条件では、リフォーム費用を上乗せした価格で売れる可能性は低くなります。
また、売主はリフォームした分を売却額で取り戻したいと考えますが、必ずしも期待通りにはいきません。価格交渉や値下げによって、費用を回収できないケースも多いのが実情です。特に中古マンションでは立地や価格帯を重視されるため、リフォーム代を上乗せすると逆に売れにくくなる場合もあります。
さらに近年は資材や人件費が高騰しており、リフォーム費用そのものが膨らみやすい状況です。投資した分を売却益で取り戻せるかどうかは事前に見極め、専門家に相談しながら無理のない価格設定を行うことが重要です。
2-2 売却活動はリフォームが終わるまで待つ必要がある
リフォームは物件の印象を良くする一方で、工事が終わるまでは売却活動を始められません。水回りの改修だけでも1週間前後、内装や間取りの大幅な工事なら数週間ほどかかるケースもあります。
さらに、工事前には業者選びや見積もり調整が必要です。マンションなら管理組合への申請、戸建てなら近隣住民への説明といった準備も欠かせません。こうした工程を含めると、売却を開始できるまでに1ヵ月以上を要するのが現実です。このように、リフォームは売却のタイミングを遅らせる要因となり、できるだけ早く売りたい場合はデメリットになる可能性があります。
2-3 自分でリフォームしたい買主には販売できない
「購入後に自分の好みに合わせてリフォームしたい」と考える買主も多くいます。デザインや間取りにこだわりを持つ層にとっては、すでにリフォーム済みの物件は自由度が低く、むしろ魅力が薄れる場合があります。
特にキッチンや浴室などの設備や内装は、ライフスタイルや好みによって評価が分かれる部分です。売主が選んだ仕様が買主の好みに合わなければ、「新しいけれど使いにくい」と判断され、購入を見送られる可能性もあります。
3章 リフォーム費用の相場を把握して回収できるか確認することが大切
リフォームに投じた費用を売却価格で取り戻せるかどうかは、物件の立地や築年数、市場の需要によって大きく変わります。築年数が古い、損傷が激しい、立地が不便といった空き家は、リフォームをしても価格が上がらず、費用を回収できないケースも少なくありません。
また、リフォームと一口にいっても、工事の規模によって必要な金額は大きく異なります。壁紙の張り替えやトイレの便器交換といった部分的なリフォームなら、10万円前後と比較的手軽に実施できます。
反対に、キッチンや浴室を丸ごと交換する、床材を全面的に張り替える、外壁を修繕するといった大規模リフォームでは、数百万円単位の費用になることも珍しくありません。リフォーム費用の相場は以下の通りです。
| リフォームする箇所 | 料金相場 |
|---|---|
| 外壁 | 50万円~350万円 |
| 耐震補強・回収 | 100万円~200万円 |
| キッチン | 50万円~150万円 |
| 浴室 | 50万円~150万円 |
| トイレ | 20万円〜50万円 |
| 洗面所 | 20万円〜50万円 |
| 壁紙交換 | 約1,000円/㎡ |
| 床材張替え | 1万円〜7万円/畳 |
このようにリフォーム費用は内容によって大きな幅があります。空き家をリフォームしてから売却するか迷う場合は、まず相場を把握し、複数の業者に見積もりを依頼したうえで、費用対効果を慎重に見極めることが大切です。
なお、家の状況によっては最低限の修繕が必要となるケースもあります。特に水回りに故障・破損がある物件は、そのままでは買い手がつきにくいため、売却を成功させるには修理や交換が欠かせません。給排水管の漏水やトイレの不具合、浴室の防水劣化などは、内覧者にマイナス印象を与えます。さらに、契約後のトラブルに発展する恐れもあるため、優先的に対応しておくことが大切です。
4章 リフォームによって売却益が高くなりやすい空き家となりにくい空き家
リフォームによって売却益が高くなるかどうかは、物件の条件によって異なります。ここでは、リフォームによって売却益が高くなりやすい空き家と、なりにくい空き家について見ていきましょう。
4-1 高くなりやすい空き家
リフォームによって売却益が伸びやすいのは、もともと需要が高いエリアに立地している空き家です。駅や商業施設、学校が近いなど生活環境に優れている場所では、購入希望者が多く集まるため、リフォーム済みという付加価値が価格に反映されやすくなります。
また、築年数がそれほど古くない物件も効果が出やすい傾向があります。建物の基本構造に価値が残っている場合、内装や設備を整えれば「すぐ住める家」として評価されやすくなり、売却価格の上昇に繋がります。
さらに、ファミリー層に人気の3LDKなどの間取りや、需要が見込まれる広さの物件は、リフォームで清潔感や利便性を高めることで買主からの評価が上がりやすいでしょう。
4-2 高くなりにくい空き家
リフォームをしても売却益が伸びにくいのは、建物の価値がほとんど残っていない空き家です。築年数が古すぎる物件は、外見を整えても構造自体の老朽化が進んでおり、なかなか購入希望者が集まらないでしょう。
また、駅から遠い、周辺に生活利便施設が少ないといった立地条件の悪さも大きなマイナス要因になります。リフォーム済みであっても需要が少なく、価格への反映は期待しにくいでしょう。
さらに、シロアリ被害や雨漏りなど深刻な損傷がある物件では、大規模な修繕が必要となり、費用をかけても採算が合わないケースがほとんどです。こうした物件は、リフォームよりも現状での売却や解体を検討する方が適切な場合もあります。
5章 リフォーム以外で空き家の印象を良くする方法
リフォームに多額の費用をかけなくても、空き家の印象を改善して売却を有利に進める方法があります。ここでは代表的な2つの方法を紹介します。
5-1 ハウスクリーニング
空き家の売却前に大きなリフォームをしなくても、専門業者によるハウスクリーニングで印象を大きく改善できます。キッチンの油汚れや浴室の水垢、トイレや洗面所の汚れなど、素人では落としにくい部分を徹底的に清掃することで、内覧時の第一印象が格段に良くなります。ハウスクリーニングにかかる費用の目安は次の通りです。
- キッチン:15~20万円
- お風呂:13~18万円
- トイレ:6,000~9,000円
- 洗面所:7,500~1万円
ハウスクリーニングはリフォームと比べると費用が抑えられるうえ、売却益が増加する可能性もあり、コストパフォーマンスに優れています。さらに、工事が必要なリフォームとは異なり、ハウスクリーニングなら1〜2日程度で完了するため、売却活動をすぐに始められる点もメリットです。
5-2 ホームインスペクション
ホームインスペクション(住宅診断)は、専門の住宅診断士が建物の劣化状況や修繕の必要性を調査するものです。目に見える部分だけでなく、基礎や屋根、雨漏りの有無といった構造面まで確認するため、購入希望者にとって大きな安心材料になります。
売主にとってもメリットは大きく、事前に診断を受けておけば「どの部分に問題があるか」「修繕が必要かどうか」を把握できるため、売却前に対処すべき箇所が明確になります。結果として、売却後のトラブル回避や価格交渉の材料としても役立ちます。
費用は物件の広さによって異なりますが、一般的には5万〜10万円程度が目安です。大規模なリフォームに比べれば負担は小さく、安心感と信頼性を高められる点でコストパフォーマンスに優れています。
6章 空き家をリフォームするかどうか迷ったら不動産会社に相談しよう
空き家の売却にあたり「リフォームをした方がいいのか、それとも現状のまま売るべきか」で迷う売主は少なくありません。しかし、この判断は物件の状態や立地、地域の需要などによって大きく異なるため、個人で正確に見極めるのは難しいのが実情です。
そのため、迷った場合は不動産会社に相談するのがおすすめです。不動産会社は過去の取引事例や地域の相場を把握しており、「リフォームすれば高く売れる可能性があるのか」「現状のままでも十分に売れるのか」を客観的にアドバイスしてくれます。
また、リフォームを行うにしても「どの部分を改修すると効果的か」「どの程度の費用で収めるべきか」といった具体的な判断基準を提示してもらえるため、費用対効果を見極めたうえで売却計画を立てやすくなります。
住まいの賢者では、空き家の売却に精通した司法書士グループの不動産会社として、法律面からも安心できる売却プランを提案します。相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:リフォームをしても空き家の売却にプラスに作用しないケースもある
空き家を売却する際、リフォームは「買い手が見つかりやすくなる」「査定や内覧で好印象を与えられる」といったメリットがあります。一方で「費用を回収できない」「売却活動が遅れる」「買主の好みに合わない」といったデメリットもあるため、必ずしもプラスに働くとは限りません。
そのため、リフォームの実施を検討する際には、費用の相場や立地条件、物件の状態を踏まえて慎重に判断しましょう。大掛かりなリフォームにこだわらなくても、ハウスクリーニングやホームインスペクションといった比較的低コストの方法で印象を高めることも可能です。もし「リフォームしたほうがいいのか」「現状のまま売るべきか」で迷う場合には、専門家に相談するのがおすすめです。住まいの賢者では、空き家の売却に精通した司法書士グループの不動産会社として、空き家売却のサポートを行っております。状況に合わせた最適な売却プランを提案しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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