目次
はじめに
「不動産の無料査定を利用してみたいけれど、しつこい営業や不当な査定額を提示されそうで怖い」と、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
確かに、事前の知識がないまま利用すると、トラブルに巻き込まれる可能性があります。しかし、正しい知識と不動産会社の選び方さえ押さえておけば、無料査定は不動産の価値を把握し、最適な売却プランを立てるための有効な手段になります。
本記事では、無料査定で起こりがちなトラブル事例と回避策、安心して査定を受けるためのポイントを、司法書士法人のグループ会社である不動産会社の視点からわかりやすく解説します。
第1章 そもそも不動産の無料査定とは?
不動産の無料査定とは、売却予定の物件について、不動産会社が市場での売却予想価格を算出してくれるサービスです。無料で受けられるため、売却を検討し始めた多くの方が最初に利用します。不動産の査定方法は大きく分けて2種類あります。
- 机上査定(簡易査定)
過去の取引事例や公的な登記情報、周辺エリアの相場データなどをもとに算出する方法です。現地訪問は不要で、数時間〜1日程度で結果がわかります。ただし、室内の状態や細かな立地条件までは反映されないため、精度は訪問査定より劣ります。
- 訪問査定(詳細査定)
担当者が実際に現地へ赴き、建物の状態、日当たり、間取り、周辺環境などを細かく確認して算出する方法です。査定額の精度が高く、実際の売却価格に近い金額が期待できます。
不動産の無料査定は、売却価格の目安を知るためだけでなく、複数の不動産会社の対応力や販売戦略を比較する機会にもなります。査定を通じて、担当者の説明のわかりやすさや、信頼できる対応かどうかも見極めることが可能です。
一般的な無料査定の流れは、まず不動産会社に査定を依頼し、物件情報や所有者情報を提供します。その後、査定が行われ、結果が提示されます。提示額はあくまで予想価格であり、実際の売却価格は市場動向や販売戦略によって変動する点を理解しておきましょう。
第2章 不動産の無料査定でよくあるトラブル
不動産の無料査定でよくあるトラブルは以下の通りです。
- 電話やメールの営業が大量に届く
- 相場よりも極端に高い金額を提示される
- 提示額が相場よりも安い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 電話やメールの営業が大量に届く
不動産の無料査定、特に複数社に一括で依頼できるサービスを利用すると、査定依頼後すぐに多数の不動産会社から電話やメールが届くことがあります。短時間で立て続けに連絡が入り、日中はもちろん、場合によっては夜間や休日にも営業が続くことも少なくありません。
「とりあえず査定だけ」と思っていたのに、予想以上の頻度で営業連絡が来ることで、対応に追われてしまったり、生活や仕事に支障をきたすケースもあります。こうした電話やメールによる営業は、精神的なストレスや時間的な負担に繋がりやすいトラブルです。
2-2 相場よりも極端に高い金額を提示される
無料査定の結果が相場よりも明らかに高い場合は注意が必要です。契約を獲得するために、意図的に高額査定を提示する不動産会社も存在します。
相場よりも極端に高い査定の不動産会社に依頼した場合、売却を始めてもなかなか買い手が見つからず、「市場価格に合わせるべきだ」と値下げを求められるかもしれません。その結果、売却期間が長引いたり、最終的に相場よりも低い価格で売却せざるを得なくなったりする恐れがあります。
2-3 提示額が相場よりも安い
無料査定によるトラブルは、相場よりも極端な高額査定だけに留まりません。販売活動の手間を省くために早期売却を狙ったり、自社や特定の顧客に有利な条件で取引を進めたりするために、相場よりも低く見積もるケースもあります。
安値で売り出せば確かに買い手は早く見つかりますが、その分、受け取れる売却益は減少します。適正価格を知っていれば避けられる事態なので、事前に相場を把握し、複数社の査定結果を比較することが重要です。
第3章 トラブルを回避するためのポイント
不動産の無料査定でトラブルを回避するためのポイントは以下の通りです。
- 不動産会社の口コミ・レビュー・免許の更新回数などを確認する
- 査定を受ける目的を不動産会社に伝える
- 事前に不動産の相場を把握する
- 査定額の根拠を聞く
- 相談内容を録音しておく
それぞれ詳しく解説します。
3-1 不動産会社の口コミ・レビュー・免許の更新回数などを確認する
査定を依頼する前に、その不動産会社が信頼できるかどうかを見極めることが大切です。インターネット上の口コミやレビューを確認すれば、過去に依頼した人の満足度や、担当者の対応、対応スピードなどの傾向が分かります。特に、複数のサイトで同じような評価がされている場合は、その会社の特徴をより正確に把握することが可能です。
さらに、国土交通省や都道府県の宅地建物取引業者免許情報から、免許番号と更新回数も確認しましょう。免許は通常5年ごとに更新されるため、更新回数が多いほど長期間営業している会社であると判断できます。長年の営業実績は、それだけ地域で信頼を得てきた証拠にもなります。
口コミや免許情報を事前にチェックすることで、初めてのやり取りでも安心して査定を依頼でき、トラブルのリスクを軽減できます。
3-2 査定を受ける目的を不動産会社に伝える
不動産会社に査定を依頼する際は、売却を本格的に検討しているのか、それとも将来のために価格を把握しておきたいだけなのかなど、査定を受ける目的をはっきり伝えることが大切です。目的を明確にしておくことで、不動産会社から適切な提案やアドバイスを受けやすくなります。
例えば「相続した物件の売却を検討しているが、急いでいるわけではない」と伝えれば、市場動向や売り時も含めた長期的な提案を受けられる可能性があります。逆に「急いで現金化したい」と伝えれば、買取やスピード重視の売却プランを提示してもらえるでしょう。
目的を共有せずに査定だけを依頼すると、営業活動や売却の提案がしつこく感じられる場合もあります。事前に意図を説明しておくことで、双方にとって無駄のないやり取りができ、結果として満足度の高い無料相談に繋がるでしょう。
3-3 事前に不動産の相場を把握する
査定を依頼する前に、自分でおおよその相場を調べておくことは、査定額の妥当性を判断するうえで重要です。相場を知っていれば、提示された査定額が極端に高すぎたり低すぎたりした場合でも、適切に対応できます。
相場の調べ方としては、国土交通省が公開している不動産取引価格情報検索や、不動産ポータルサイトで近隣の成約事例・売出価格を確認する方法があります。同じエリア・面積・築年数・間取りの物件を複数チェックし、価格帯を把握しておくと良いでしょう。
事前に相場を把握しておけば、査定額に対して過剰な期待や不安を持たずに済みます。また、不動産会社とのやり取りでも数字に基づいた冷静な判断ができ、査定後の交渉や売却戦略を考える際にも役立ちます。
3-4 査定額の根拠を聞く
不動産会社から査定額を提示されたら、必ずその根拠を確認しましょう。なぜなら、根拠が不明確なまま契約すると、売却価格に納得できずトラブルになる恐れがあるからです。
不動産の査定は、立地条件や築年数、物件の状態、周辺の成約事例など多くの要素を組み合わせて算出されます。説明を受けることで、その査定額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
例えば「半径1km以内の直近1年の成約事例を基に算出した」「築年数と過去のリフォーム履歴を評価に反映した」など、査定の根拠が具体的であれば信頼性が高まります。一方、「相場を参考にしました」などのように、根拠がはっきりしない場合は注意が必要です。複数社で査定額の根拠を聞き比べると、より現実的な金額を見極めやすくなります。
3-5 相談内容を録音しておく
不動産会社とのやり取りは、可能な限り録音しておきましょう。なぜなら、査定額や条件の提示内容が後から変わった場合に、当時の説明を正確に証明できるからです。無料査定や売却相談では、多くの情報が短時間で提示され、口頭だけのやり取りでは記憶が曖昧になりやすく、後で「そんな説明はしていない」といったトラブルに発展する可能性があります。
例えば、「この金額で売れる」と言われたにもかかわらず、後日「修繕が必要だから値下げが必要」と一方的に条件を変更されるかもしれません。しかし、録音していれば、その時点での具体的なやり取りを確認でき、不当な条件変更に対して冷静かつ根拠を持って対応できます。スマートフォンの録音アプリやICレコーダーを使えば簡単に記録できるため、重要な打ち合わせや条件提示の場面では習慣化すると安心です。
第4章 不動産の無料査定でトラブルに遭った場合の対処法
不動産の無料査定でトラブルに遭ってしまった場合でも、慌てる必要はありません。重要なのは、感情的にならず冷静に状況を整理し、適切な対処を取ることです。ここでは、不動産の無料査定でトラブルに遭った場合の対処法を解説します。
4-1 別の不動産会社を利用する
査定額や対応に納得できない場合は、同じ会社に固執せず、別の不動産会社に切り替えるのが有効です。不動産の査定額は会社や担当者の経験・販売戦略によって大きく変わるため、複数社を比較することで適正価格が見えやすくなります。
また、担当者との相性やコミュニケーションのスムーズさも、売却活動の成功に直結します。「何となく信頼できない」「説明が不十分」と感じた時点で、新たな会社に依頼し直す判断をすることが、結果的にスムーズな売却につながります。
4-2 消費生活センターや全国宅地建物取引業協会連合会に相談する
無料査定で不当な対応や契約トラブルに巻き込まれた場合は、速やかに第三者機関へ相談しましょう。消費生活センターでは、専門の相談員が事例に応じて解決策や交渉の進め方を助言してくれます。記録や証拠を提示すれば、より具体的な対応方法を提案してもらえるでしょう。
さらに、全国宅地建物取引業協会連合会は中立的な立場から指導や是正勧告を行い、必要に応じてトラブル解消のサポートをしてくれます。いずれの機関に相談する場合でも、早めに対応することで被害の拡大を防ぎやすくなります。
第5章 安心して無料査定を受けるためのポイント
安心して無料査定を受けるためのポイントは以下の通りです。
- 査定を受ける目的を明確にする
- 複数の不動産会社から査定を取る
- 査定額だけで判断しない
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
5-1 査定を受ける目的を明確にする
無料査定を受ける前に、「売却時期はいつか」「売却益をどう使うのか」「単に相場を知りたいだけなのか」など、目的を具体的に整理しておきましょう。目的が不明確なまま査定を依頼すると、不動産会社から提案された売却プランや価格が、自分の希望とずれ、不要なトラブルに発展する恐れがあります。
目的を明確にしておけば、査定時の質問や条件提示も具体的になり、複数社の査定結果を比較するときにもブレが生じません。結果として、担当者の押しや条件交渉にも冷静に対応でき、納得感のある売却計画を立てられます。
5-2 複数の不動産会社から査定を取る
無料査定は、必ず複数の不動産会社に依頼するのが鉄則です。1社だけの査定額では、その金額が相場と比べて妥当なのか、高すぎるのか、あるいは低すぎるのか判断できません。特に不動産会社ごとに得意とするエリアや物件タイプ、販売戦略は異なり、その差が査定額や提案内容に大きく表れることがあります。
複数社から査定を取れば、価格の妥当性はもちろん、担当者の対応姿勢や説明の分かりやすさ、提案の具体性といった面も比較できます。また、複数社が競合することで、より有利な条件や積極的な販売戦略を提示してもらえる可能性も高まります。結果として、自分に合った不動産会社を客観的に選びやすくなり、納得して不動産の売却手続きを終えられるでしょう。
5-3 査定額だけで判断しない
無料査定を受けた際、提示された金額の高さだけで不動産会社を選ぶのは危険です。査定額が高いのはもちろん魅力的ですが、実際には契約を取りたいがために相場より高く提示しているケースも少なくありません。契約のために高額査定をしている場合、売り出しても買い手が決まらず、結局値下げを重ねて売却期間が長引くリスクがあります。
そのため、不動産会社を選ぶ際は、査定額の根拠や販売戦略、過去の販売実績、担当者の信頼性など、複数の要素を総合的に判断することが大切です。価格だけでなく、どのように売却を進めてくれるのか、どの層にアプローチするのかといった具体的な提案内容も確認しましょう。
まとめ:無料査定によるトラブルを避けたいなら不動産会社選びが重要
不動産の無料査定は、売却の目安を知るうえで有効な手段ですが、しつこい営業や相場とかけ離れた金額提示など、トラブルが起こる可能性もあります。安心して利用するためには、事前に相場や査定の目的を明確にし、信頼できる不動産会社を選ぶことが欠かせません。
特に、不動産会社の口コミや免許の更新回数の確認、査定額の根拠を聞く、やり取りを記録するなどの対策は、トラブル予防に有効です。万が一トラブルに巻き込まれた場合でも、消費生活センターや全国宅地建物取引業協会連合会といった第三者機関へ相談することで、早期解決が期待できるでしょう。
なお、「住まいの賢者」は、司法書士法人のグループ企業として、不動産取引の法的知識と実務経験を活かし、安心・納得のいく査定と売却をサポートしています。無料査定を上手に活用し、後悔のない不動産取引を実現しましょう。
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