目次
はじめに
日本全国で空き家の増加が深刻な社会問題となっています。空き家の数はこの数十年で右肩上がりに増え続けており、特に地方都市や郊外では深刻化の一途をたどっています。適切に管理されない空き家は、老朽化や犯罪の温床といった多くのリスクを伴い、所有者や地域社会にとって大きな負担となりかねません。
本記事では、空き家問題の現状や放置することによるリスクを解説します。空き家問題を解決する選択肢や空き家問題を回避するポイントも説明しているので、相続した空き家の管理で困っている方はぜひ最後までご覧ください。
第1章 空き家問題とは|日本で空き家が増えている背景
近年、全国的に空き家の増加が深刻な社会問題となっています。国土交通省の「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」によると、2003年時点で約576万戸だった空き家は、2023年には849万戸にまで増加し、20年間でおよそ1.5倍に拡大しました。
特に問題とされているのが、別荘などの二次的住宅や賃貸・売却用の住宅を除いた、長期にわたって使われていない「その他空き家」です。この「その他空き家」は、20年で約1.9倍に増加し、2023年では349万戸にのぼります。こうした空き家の増加の要因は以下の通りです。
- 少子高齢化と人口減少による住宅需要の減退
- 都市部への人口集中と地方の過疎化
- 相続後の処分先が決まらない家屋の放置
空き家は一見すると個人の資産の問題に見えますが、老朽化や防犯上のリスク、地域景観の悪化など、周辺の生活環境にも悪影響を及ぼすため、早期の対策が求められています。
第2章 空き家を放置すると生じる6つのリスク
空き家をそのままにしておくと、様々なリスクが発生します。ここでは、空き家の放置によって生じる代表的な6つのリスクを見ていきましょう。
2-1 老朽化による倒壊の危険性がある
空き家は、人の出入りや定期的なメンテナンスが行われないため、建物の劣化が急速に進みやすい特徴があります。屋根や外壁の破損、柱や土台の腐食が放置されると、風雨や地震などの外的要因によって建物が倒壊するリスクが高まります。
特に築年数の古い住宅や木造家屋では、わずかな地震や台風でも一部が崩落する危険性が否めません。倒壊によって通行人や近隣住民に被害が及んだ場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性もあるでしょう。
2-2 不法侵入・放火などの犯罪リスクが増大する
空き家は人の気配がなく、監視の目が届きにくいため、不法侵入や放火といった犯罪の温床になりやすいというリスクがあります。実際、消防庁や警察庁が公開している全国データでも、空き家を狙った放火事件や不審火の発生件数は一定数存在しています。
特に夜間や人通りの少ない地域にある空き家は、ホームレスによる占拠、不審者の隠れ家として悪用されるおそれがあります。一度事件が発生すると、近隣住民との関係が悪化し、地域の安全や資産価値にも悪影響を及ぼしかねません。
2-3 固定資産税などの維持コストがかかる
空き家を所有している限り、使用していなくても毎年固定資産税や都市計画税といった維持コストがかかります。空き家の状態によっては特定空家や管理不全空家に指定され、住宅用地の特例が適用されなくなることで、固定資産税が最大6倍になる可能性もあります。
さらに、建物や敷地の管理にも一定の費用が発生します。定期的な草刈りや建物の簡易点検、老朽部分の補修、倒木や雨漏りの対策などを怠れば、周囲への被害や事故を引き起こす可能性があります。そのため、管理コストも大きな負担になるでしょう。
2-4 雑草・害虫・動物などによって近隣住民に迷惑をかける
空き家は人の出入りがないことで敷地の管理が行き届かず、雑草が伸び放題になったり、庭木が道路や隣地に越境したりと、周囲の生活環境に悪影響を与えることがあります。
また、放置された建物や庭には、害虫(ハチ・蚊・シロアリなど)や害獣(ネズミ・ハクビシン・野良猫など)が繁殖しやすくなります。これにより、近隣住民の衛生環境や安全性に不安が生じ、苦情やトラブルにつながるケースも少なくありません。
2-5 自治体によって強制的に取り壊され費用を請求される
空き家が著しく老朽化し、倒壊や衛生面での支障が生じている場合、自治体から特定空家等に指定されます。この指定を受けると、所有者に対して修繕や撤去などの措置命令が出され、従わない場合は行政代執行によって強制的に解体される可能性があります。
行政代執行では、自治体が所有者に代わって建物の取り壊しを実施することになります。代執行が行われた場合、その費用は原則として所有者に請求され、数百万円単位の支払いが発生するケースがあります。また、取り壊し後も土地の固定資産税は引き続き発生し、住宅用地の特例が外れることで税額が大幅に増える恐れもあるでしょう。
2-6 資産価値が下落し売却が難しくなる
空き家を長期間放置すると、建物や敷地の劣化が進み、資産価値が大きく低下します。雨漏りやシロアリ被害、外壁のひび割れ、雑草の繁茂など、適切な管理が行われていない不動産は、購入希望者に敬遠されやすくなります。
さらに、空き家が特定空家等や管理不全空家に指定されると、行政指導や税制上の不利益(住宅用地特例の除外)といったマイナス要素が加わり、いっそう売却が難しくなります。いざ売却しようと思っても、「リフォーム費用がかかりすぎる」「解体が必要」といった理由で、買取価格が大幅に下がるケースも少なくありません。
第3章 空き家問題を解決する5つの選択肢
空き家の放置には様々なリスクが伴うため、以下のような対処が求められます。
3-1 売却する
空き家の活用が難しい場合は、売却によって早期に処分するのが現実的です。所有している限り、固定資産税や火災・倒壊のリスク、近隣からのクレーム対応といった問題が発生しますが、売却して手放せばこうした負担から解放されます。
売却には、仲介による一般売却と、不動産会社による買取の2種類があります。仲介では市場価格に近い金額で売れる可能性がある一方、買い手が見つかるまでに時間がかかる場合もあります。買取であれば、価格は一般売却より安くなりますが、スピーディーに現金化できるため、急いで処分したい方におすすめです。
3-2 賃貸物件として活用する
空き家が比較的良好な状態であれば、賃貸物件として活用するのも有効な選択肢です。誰かに住んでもらうことで、建物の劣化を防ぎつつ、家賃収入という形で資産を有効活用できます。定期的な収入が見込めるため、固定資産税などの維持コストを相殺できるのも大きなメリットです。
ただし、古い空き家を賃貸に出す場合は、リフォームが必要になる場合があります。また、賃貸借契約の締結や入居者対応、家賃管理などの業務が発生するため、自主管理が難しい場合は、管理会社に委託する必要があるでしょう。
3-3 家を取り壊して駐車場として利用する
空き家の建物が老朽化しており、再利用が難しい場合は、更地にして駐車場として活用する方法もあります。立地条件が良ければ、月極駐車場やコインパーキングとして貸し出すことで、安定した収益を得ることが可能です。
駐車場としての活用は、建物の維持費や修繕コストが不要であることから、比較的低リスクで運用できる点がメリットです。一定の収益を確保しながら、将来的に売却や再建築といった選択肢を残せます。また、トランクルームとしての活用も選択肢に入ります。駐車場と異なり、駅近などの好立地でなくても需要が見込めるケースがあり、狭小地や住宅街でも収益化を図れる可能性があります。
一方で、建物を解体すると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)が使えません。これにより、土地の税負担が増える点には注意が必要です。
3-4 空き家バンクを利用する
空き家バンクとは、各地の自治体が運営する、空き家の情報を集約したウェブサイトで、主に移住希望者や地域定住希望者とのマッチングを目的としています。特に地方部では、地域活性化の一環として空き家バンクが積極的に活用されており、買い手や借り手を見つける有力な手段です。
空き家バンクに登録すれば、不動産会社を介さずに買主や借主に直接アプローチできるため、仲介手数料が不要なケースもあります。ただし、空き家バンクは全国的に見ても物件数が限られており、希望エリアによっては需要がほとんどない可能性もあるでしょう。
3-5 空き家管理サービスを利用する
空き家管理サービスとは、所有者が住んでいない不動産を専門の業者が定期的に巡回・点検し、適切な管理を行うサービスです。ポストの整理、通風・通水、庭木の手入れ、簡易清掃、外観の確認などを代行してくれます。
空き家管理サービスを利用すれば、老朽化や景観の悪化を防ぐことができ、近隣トラブルや行政からの勧告といったリスクも軽減することが可能です。また、管理状態が良好であれば、将来的な売却や賃貸への移行もしやすくなります。
ただし、空き家管理サービスには月額数千円ほどの費用がかかるため、「いつまで空き家のまま保有するのか」という視点を持って検討することが大切でしょう。
第4章 空き家を高く売るためのポイント
ここでは、空き家を高く売るためのポイントを解説します。
4-1 複数の不動産会社に査定を依頼する
空き家を高く売りたいなら、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。なぜなら、会社によって査定額や販売方針、得意とするエリアが異なっており、1社の意見だけでは本来の適正価格や最適な売却戦略を見極めるのが難しいためです。
例えば、同じ物件でも、ある会社は「早く売る」方針でやや安めに価格を設定し、別の会社は「できるだけ高く売る」ことを重視して強気の査定額を提示してくる場合もあるでしょう。複数社に相談することで、こうした違いを比較でき、自分に合った売却方針を選べるようになります。
4-2 買取ではなく売却を選択する
不動産会社による買取は、業者が直接買い取ってくれる方法です。即現金化が可能で、手続きもスピーディーに進められますが、売却価格が市場価格よりも低くなる傾向があります。
一方で仲介による売却は、不動産会社が買主を探してくれる一般的な売却方法です。買主が見つかるまでに時間がかかる場合もありますが、市場価格に近い価格で売れる可能性が高くなります。したがって、空き家をなるべく高く売りたい場合は、買取よりも仲介による売却の方がおすすめです。
4-3 建物・土地の管理状態を良好に保つ
雑草の放置や外観の劣化は「管理されていない物件」として評価が下がり、売却価格にマイナスの影響を与えます。そのため、なるべく高く売りたい場合は、以下のような方法で建物や土地の管理状態を良好に保つことが重要です。
- 敷地内の雑草を定期的に除去する
- 建物外観(外壁・屋根・窓など)の汚れを清掃する
- 郵便受けの確認・チラシの除去を行う
- 雨漏りや破損箇所がないかを点検し、必要に応じて補修する
- 庭木や植栽の剪定を行い、手入れされた印象を保つ
- 外からの視線に配慮したカーテンやブラインドを整える
- 害虫・害獣の侵入を防ぐための対策を施す
住まいの賢者では、信頼できる空き家管理会社の紹介も行っており、立地や状況に応じた適切な管理プランを提案できます。
第5章 空き家問題を回避するためのポイント
ここでは、空き家問題を回避するためのポイントを解説します。
5-1 相続前から家の扱いについて家族で話し合っておく
空き家問題を未然に防ぐには、相続が発生する前に家の扱いについて家族で話し合っておくことが重要です。誰が相続するのか、売却や活用を検討するのか、共有とするのかなど、方針を明確にしておくことで、相続後に「誰も管理しない空き家」が生じるのを避けられます。相続後のトラブルや余計な負担を防ぐためにも、家族間で早めに意思確認をしておきましょう。
5-2 空き家になる前に売却や活用を検討する
所有者が施設入居や転居などで不在になる場合は、家が空き家になる前に売却や賃貸などの活用方法を検討しましょう。時間に余裕のあるうちに動くことで、条件の良い買主や借主と出会える可能性が高まります。
所有者がまだ元気なうちであれば、必要な手続きもスムーズに進み、判断や意思表示もしやすくなります。しかし、空き家に将来的な負担を軽減するためにも、家が空き家になる前の段階から具体的な活用方法を検討し、必要に応じて専門家に相談することがおすすめです。
5-3 いざという時に備えて専門家との繋がりを持っておく
空き家の管理・活用・売却には、法的・税務的な知識が必要となるケースが多くあります。いざという時に備えて、司法書士や不動産会社などの専門家と繋がっておけば、空き家を相続した後の手続きをスムーズに進められるでしょう。
「住まいの賢者」では、相続・空き家問題に強い専門家とのネットワークを活かし、無料相談や適切な窓口のご紹介を行っています。「相談先がわからない」と感じている方も、まずはお気軽にご連絡ください。
まとめ:放置すると損になる|早期対策で資産を守ろう
空き家を放置することは、倒壊や犯罪リスクの増加、資産価値の低下など多くの問題を引き起こします。さらに、特定空家や管理不全空家に指定されれば、固定資産税の増額や強制解体といったペナルティを受ける可能性もあります。
こうした事態を防ぐには、空き家になる前からの準備と、的確な活用・処分の判断が不可欠です。売却・賃貸・空き家管理などの選択肢を踏まえ、早めに行動することで、空き家のリスクを抑えながら資産を守れます。
「住まいの賢者」では、相続や空き家の活用・処分に精通した司法書士や提携業者と連携し、ワンストップでのサポートを提供しています。空き家に関するお悩みは、ぜひお気軽にご相談ください。
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