不動産の相続に悩んだときの相談先|無料で相談できる窓口と専門家

不動産の相続に悩んだときの相談先|無料で相談できる窓口と専門家
監修者: 中西孝志

はじめに

不動産の相続は、多くの人にとって初めて直面する問題です。何をすればいいのか、誰に相談すべきか分からず、不安を抱える方も多いでしょう。

2024年からは相続登記が義務化されるなど、法律面で大きな変化が起きており、「いつかやればいい」と放置することがリスクに直結する時代になりました。

よって、相続が発生した際は早めに正確な情報を集め、信頼できる相談先を見つけることが大切です。

本記事では、無料で利用できる公的窓口や、初回相談が無料の専門家を紹介します。スムーズに手続きを進められるように、自分に合った相談先を見つけましょう。

第1章 不動産の相続は早めに相談すべき理由

不動産の相続は、親族間の感情のもつれや、資産価値の低下などのリスクがあります。早めに相談し、円満な相続を実現しましょう。

では、不動産の相続は早めに相談すべき理由を解説します。

1-1 相続登記が義務化された

2024年4月より、相続登記が義務化されました。

相続により不動産を取得した場合、3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。相続した不動産の登記を済ませていないと、売却や担保設定ができないため注意しましょう。

特に、複数の相続人がいる場合は、登記申請に必要な書類を集めるだけでも時間がかかることがあるため、早めに手続きを進めることが大切です。

1-2 相続税の対策ができる

相続税には申告期限があり、期限を過ぎるとペナルティが課されます。

早い段階で税理士などに相談することで、特例制度の活用や節税対策が可能になり、余計な税負担を抑えられます。知らなければ損をする制度もあるため、生前対策として相談することをおすすめします。

また、遺産分割の方法によっては、納税資金の準備が難しくなるケースもあるため、専門家と一緒にシミュレーションしておくと安心です。

1-3 不動産の評価額を把握できる

不動産の相続では、評価額の把握が欠かせません。土地や建物の価格が高額な場合、相続税額にも大きく影響します。現時点の評価額を正確に把握し、生前対策として適切な相続プランを立てましょう。

また、土地の形状や接道状況、都市計画上の制限などによっても評価額が変動するため、専門家に依頼をしてプロの目でチェックしてもらうことをおすすめします。

第2章 相談をする前に確認しておくべきこと

専門家に相談をする前に、必要な情報を整理することで相談時間を有効活用でき、より的確なアドバイスを受け取ることができます。

準備不足のまま相談すると、再度足を運ぶ必要が生じたり、手続きが長引いたりするリスクがあるため、事前準備は欠かせません。

では、相談をする前に確認しておくべきことを解説します。

2-1 遺言書の有無を確認する

被相続人の死後、遺言書がある場合、遺言書に記された内容が優先されます。

自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認が必要です。遺言書がない場合は、法定相続分で相続するか遺産分割協議を行う必要があります。

なお、封印のされている自筆証書遺言を勝手に開封すると、5万円以下の過料を科される可能性があるため、発見した場合は速やかに専門家に確認を依頼しましょう。

2-2 相続人を確定させる

遺言書の確認後、相続人の認識違いによるトラブルを防ぐために、相続人を確定させましょう。

戸籍謄本を取り寄せ、相続関係図を作成しておくと、今後の手続きがスムーズに進みます。特に、離婚・再婚など家族構成の変遷が複雑な場合、認知された子供など隠れた相続人がいる可能性があります。一部の相続人が欠けた状態で行った遺産分割協議は無効になるため、相続人の確定は非常に重要です。

戸籍収集には時間がかかることもあるため、できるだけ早く取りかかりましょう。

2-3 相続不動産の調査をする

相続人の確定と同時に、相続する不動産の詳細を把握することも大切です。

登記簿、固定資産税評価額などを調査し、資料としてまとめておくと権利関係や課税関係の把握がスムーズです。同時に、現地確認も行い、老朽化など物理的な問題点を把握しておきましょう。

共有となっている不動産がある場合は、通常の売却や管理が難しくなるケースがあるため、持分買取や換価分割などを検討する必要があるでしょう。

2-4 不動産をどうすべきか方向性を決める

売却や賃貸、自己使用など、相続予定の不動産の活用方針をあらかじめ考えておきましょう。

また、方向性によって相談先や必要な手続きが変わるため、あらかじめ家族で話し合っておくとスムーズです。売却を選ぶなら市場動向や税金対策を、賃貸を選ぶなら収益性や管理コストを確認する必要があります。

自宅として使用する場合でも、リフォームの必要性や固定資産税の負担などを見据えておきましょう。

2-5 どこに何を相談するかまとめておく

相続する不動産が決まったら「登記について聞きたい」「税金について知りたい」など、目的を整理し、どこに何を相談するかまとめておきましょう。

相談メモを作成しておくと、話が脱線せず、短時間で問題解決にたどり着きやすくなるためおすすめです。

また、必要書類をリストアップして持参することで、ケースに合ったアドバイスを得やすくなり、その後の手続きもスムーズに進みます。

第3章 無料で相談できる公的窓口

公的窓口は、初歩的な疑問を解消するのに適しており、手続きを進める際の第一歩となります。また、公的窓口は専門機関との橋渡し役にもなってくれるため、次に進むべき方向性が見えやすくなるでしょう。

ここからは、被相続人の死後の手続きについて無料で相談できる公的窓口を紹介します。

3-1 市役所・区役所

市役所や区役所では、相続手続きに関する無料相談窓口を設置しています。

行政書士や税理士が対応するケースもあり、初歩的な相談に適しているでしょう。地元密着型のため、地域事情にも詳しい点もメリットです。

また、行政サービスの案内も受けられるため、相続放棄や戸籍取得などの手続きもスムーズに進められます。相談日程が限られている場合も多く、各自治体のホームページで事前に確認しておくと安心です。

3-2 法務局

不動産登記の相談は、法務局が適しています。相談窓口では、登記手続きの流れや必要書類の確認など、実務的なアドバイスを受けることができます。

法務局では、登記相談日を設けており、専門の登記官が直接相談に応じてくれる場合も多いでしょう。難しい申請書類の書き方も丁寧に教えてもらえるため、安心して手続きを進められます。

ただし、予約制の場合もあるため、事前確認が必要です。

3-3 税務署

相続税の基本的な相談は、税務署で対応しています。税額の概算計算や、必要な申告手続きについて教えてもらえるため、何をしたらよいのか分からない方も安心です。

また、無料の税務相談会を開催していることもあり、相続税だけではなく贈与税についても併せて相談できる機会が設けられています。

ただし、節税策の個別相談には対応していない場合もあるので注意しましょう。

3-4 法テラス

経済的に余裕がない場合は、法テラスの利用がおすすめです。

法テラスとは、国が設立した法的トラブル解決のための窓口のことで、司法書士や弁護士による無料法律相談が受けられます。また、所得に応じた支援制度もあるため、相談しやすい環境が整っています。

法テラスは全国どこからでも利用可能で、電話相談やオンライン相談にも対応しています。

ただし、審査に時間がかかる点や予約が取りにくい点などデメリットもあるため、急いでいる場合は専門家に直接相談するとよいでしょう。

第4章 無料で相談できる専門家

敷居が高い印象がある専門家への相談ですが、多くの専門家が初回相談を無料で行っています。無料相談を活用することで、自分に合った専門家かどうか見極める機会にもなります。

実際の依頼前に、相性を確認できる点も大きなメリットです。

では、無料で相談できる専門家を紹介します。まずは気軽に問い合わせてみましょう。

4-1 司法書士

相続登記や遺産分割協議書作成など、相続した不動産関連の法的手続きに強いのが司法書士です。

相談のみであれば無料で対応してくれる事務所も多く、登記に関する不明点がある場合におすすめです。

共有名義や未登記物件などの複雑なケースでも、豊富な知識と経験をもとにアドバイスしてもらえるため、安心して手続きを進められます。

「住まいの賢者」は、相続を得意とする司法書士と連携し、相続不動産の調査から登記、売却、活用までをワンストップで支援するサービスを提供しています。

初回相談・査定を無料で行っているため、まずは、お気軽にお問い合わせください。

4-2 税理士

相続税の申告や生前の節税対策のアドバイスを受けるなら税理士がおすすめです。

初回は、無料相談を実施している税理士事務所が多く、具体的な試算をしてもらえるケースもあります。特例の適用可否など、専門的な判断が必要な場合に活用するとよいでしょう。

また、資産の組み換えや納税資金確保のアドバイスも受けられるため、相続税対策の全体像を把握するためにも早めの相談をおすすめします。

4-3 弁護士

相続トラブルが予想される場合は弁護士への相談がおすすめです。

法的観点から問題点を整理してもらうことで、感情的な対立を防ぎ、冷静に対策することができます。

特に、兄弟間の争いや遺留分侵害額請求など、法的な争いに発展しそうな場合は早めに相談しましょう。

多くの法律事務所では、初回30分〜1時間程度の無料相談を実施していますが、有料の場合もあるため確認してから予約するとよいでしょう。

4-4 不動産会社

不動産の売却や活用を検討している場合は、不動産会社への相談がおすすめです。査定や売却プランの提案を無料で受けられるため、生前対策として不動産の価値が知りたい方にも向いています。

ただし、相続した不動産の売却はスピードが重要な場合もあるので、早めに動きましょう。不動産会社による買い取りを希望する場合は、複数社から提案を受けて比較検討することで、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。

第5章 【状況別】おすすめの相談先

専門家によって可能なサポートが異なるため、的確に見極めて相談先を選ぶことが大切です。どこに相談すべきか分からない方は、状況に応じた相談先を確認しましょう。

では、おすすめの相談先を状況別に紹介します。

5-1 生前の相続対策をしたい場合におすすめの相談先

相続対策を生前に進めたい場合は、司法書士や税理士への相談がおすすめです。

特例や節税策を最大限活用するには、早めに計画を立てることが大切です。資産をどう引き継ぐか、誰にどれだけ渡すかを計画的に決めることで、相続時のトラブルを未然に防ぐことができます。

また、司法書士や税理士への相談は、生前贈与や遺言書作成など、本人の意思を尊重しつつ、スムーズな資産承継をするためにも有効です。家族全員で話し合いを重ね、将来のトラブル回避につなげましょう。

5-2 相続直後で何から手をつけていいか迷っている場合におすすめの相談先

相続直後で何から手をつけていいか迷っている方は、市役所・区役所の無料相談窓口や、法テラスを利用しましょう。

初期段階で基本情報を整理することで、その後の専門家選びもスムーズになります。現状の不明点をリストアップして持参すると、より有意義な相談ができるでしょう。

特に、相続放棄や限定承認などの重要な選択肢には期限があるため、初動を間違えないことが大切です。

行政窓口で基礎知識を整理したうえで、具体的な手続きは専門家にバトンタッチする流れが理想的です。

5-3 兄弟間で争いがある場合におすすめの相談先

家族間で争いが予想される、あるいは既に争っている場合は、弁護士に相談しましょう。

感情的な争いを法的に整理するためには、専門的な知識と交渉力が必要です。特に、遺留分侵害や使途不明金問題など、金銭トラブルが発生している場合は弁護士を間に入れることをおすすめします。

また、遺産分割協議がまとまらない場合も、弁護士のサポートを受けることでスムーズに進められます。

5-4 売却か活用かを悩んでいる場合におすすめの相談先

不動産の活用方法で迷っている場合は、不動産会社に相談しましょう。

売却査定と賃貸運用プランの両方を比較しながら、最適な選択肢を提案してもらうことができます。できれば、複数社に相談し、意見を比較することも大切です。

ただし、最終的な方向性を決める際は、相続税や固定資産税など税金面の影響も考えなくてはなりません。税理士などの専門家にも相談し、同時に進めるとよいでしょう。

まとめ:不動産の相続は必要に応じて専門家に相談しよう!

不動産の相続問題は、必要に応じて早めに専門家に相談することが大切です。公的窓口だけではなく、無料で相談可能な専門家も多いため、まずは気軽に問い合わせてみることをおすすめします。

選択肢によっては期限が決まっている場合もあるため、自分たちだけで悩まず、早めにプロの知識とサポートを活用しましょう。

「住まいの賢者」では、相続を得意とする司法書士と連携し、相続不動産の調査から登記、売却、活用までをワンストップで支援するサービスを提供しています。

初回相談・査定は無料で行っており、売却先のマッチングや税理士との連携も可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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