空き家を売却するタイミングは?税金対策や高く売るコツも徹底解説

空き家を売却するタイミングは?税金対策や高く売るコツも徹底解説
監修者: 中西孝志

はじめに

「空き家を所有しているけれど、どうすればいいか分からない」

相続や転居などで誰も住まなくなった家を放置すると、維持費や税金の負担、老朽化によるリスクを抱えてしまい「負動産」と化してしまいます。

空き家を売却することで、リスクを解消し、資産としての価値を最大限に活用できます。

本記事では、空き家の最適な売却タイミングと税金対策を解説します。相続や転居で空き家を抱える方は参考にしてください。

第1章 空き家の放置はデメリットが多い!

空き家は時間が経つほどに価値が下がります。

防犯・防災上のリスクも高く、倒壊や不審火、害獣被害といった問題の温床になるため売却のハードルが上がります。

また、空き家でも所有している限り、固定資産税が課税されます。自治体から「特定空家等」に指定されると、住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる恐れがあるため注意しましょう。

このように、放置をすることでデメリットが増えるため、早期に活用や売却を検討することが重要です。

第2章 空き家の売却を考えるタイミングとは?

空き家は「いつ売るか」で価値が大きく変わります。売却のチャンスを逃すと、資産価値の下落や税金の増加などのデメリットが発生してしまいます。

自分のライフスタイルや財政状況、不動産市場の動向を見極めながら、最適なタイミングを見極めることが大切です。

では、空き家の売却を考えるタイミングを見ていきましょう。

2-1 相続開始から10か月が経過したタイミング

相続開始から10か月以内に空き家を売ると小規模宅地の特例が使えなくなるため、10か月が経過したタイミングで売却を検討しましょう。

また、空き家を相続してから3年以内に売却すれば、売却して得た譲渡所得の金額から3,000万円まで控除されるため、大きな節税効果を得ることができます。

よって、10か月〜3年以内の売却が理想的といえるでしょう。

控除を使うためには被相続人の居住用であることや譲渡までに第三者に貸していないことなどの条件があるため、早期に税理士などと相談しておくことが大切です。

2-2 管理が困難になってきたタイミング

遠方に住んでいたり、仕事や家庭の都合で管理ができない場合、放置すればするほど状態は悪化します。管理コストや手間を考えると、売却を選択肢に入れたほうがよいでしょう。

空き家の管理には、定期的な見回りや換気、防犯対策などが必要なため費用が発生します。

コストと手間が継続的にかかることを考えると、維持するよりも売却して現金化する方が合理的な選択肢となる可能性が高いでしょう。

2-3 建物の老朽化が進んできたタイミング

築年数が進み、修繕が必要になってくると、買い手がつきにくくなります。

リフォームしても売却価格に反映されにくいケースも多いため、老朽化が始まる前の売却が賢明です。特に、築30年以上の住宅は、住宅ローンが付きにくく、耐震基準や断熱性能などが買主のニーズに合わないことも多いため、評価が下がる傾向にあります。

売却を検討している場合は、物理的な劣化だけではなく、周辺インフラや地域価値の低下も視野に入れて早期の決断を検討しましょう。

2-4 相続してすぐのタイミング

相続直後は、物件が比較的良好な状態であることが多く、買い手もつきやすいです。

また、不動産市場が上昇しているタイミングを逃さず売却できるチャンスでもあります。

相続後すぐであれば、家財や権利関係が整理されやすく、売却に向けた手続きもスムーズに進みます。築年数が浅い物件や立地条件が良い物件は、早期に売却することで高値での成約が期待できるでしょう。

2-5 税金対策のタイミング

空き家特例や譲渡所得の特別控除など、税制優遇が使える期間を逃すと、想定外の納税負担が発生します。税理士と相談し、控除が受けられる時期に売却を進めましょう。

空き家の売却では、取得費や譲渡費用を差し引いて所得を計算するため、領収書や契約書の整理も重要です。事前の計画と専門家のサポートを受けて税金面を有利に進めましょう。

第3章 空き家を売却する方法は?

空き家の売却方法は一つではありません。売却までの期間や手続きの複雑さが異なるため、物件の状態や地域性、希望条件に応じて最適な方法を選びましょう。

では、空き家を売却するための方法を解説します。

3-1 空き家を取り壊して土地を売却する

建物が老朽化している場合、取り壊して更地にしてから売却するほうが需要が高まる傾向があります。

更地は建築の自由度が高く、戸建てやアパート用地としても利用されやすいため、需要が根強い反面、解体には100万円以上の費用がかかるケースもあります。

特に地方では、不動産市場の流動性が低いことから、隣接地の所有者に購入を打診するケースも珍しくありません。

隣地をまとめて所有したいと考えている人がいれば、交渉が成立しやすいこともありますが、難しい場合は自治体の補助金制度を活用して解体を行いましょう。

3-2 そのままの状態で売却する

修繕や解体をせず、そのままの状態で売却する方法もあります。リノベーション前提の購入を希望する買い手がターゲットとなるでしょう。

コストを抑えて売却したい方に向いていますが、売却価格は相場よりやや下がる可能性があります。

物件の状態によっては、内見時に悪印象を与えることもあるため、最低限の清掃や整理を行ってから販売に出すことをおすすめします。

3-3 不動産会社に依頼して買い取ってもらう

早く確実に売却したいなら、不動産会社への買取依頼も選択肢になります。相場よりやや低い価格にはなりますが、現金化までのスピードは魅力といえます。

また、条件によってはリースバックを利用することができます。リースバックとは、自宅などの不動産を売却し、売却先から賃貸として借りて住み続けることです。

内覧不要で一括査定も可能なため、時間がない方や他人に見られたくない場合に有効な方法です。

3-4 空き家バンクを活用して売却する

空き家バンクは、自治体が運営しており、地域活性化のために空き家を紹介・マッチングする制度です。

購入希望者は地元に関心のある人が多く、空き家の活用方法に理解があることが特徴です。ただし、登録には条件があり、地域によっては利用件数が限られていることもあります。

また、売却までに時間がかかることもあるため注意しましょう。

第4章 空き家を売却する前の準備

売却をスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。準備を怠ると、売却のタイミングを逃したり、トラブルが発生したりするリスクが高まります。

では、空き家を売却する際に必要な準備を解説します。

4-1 権利関係を確認する

まず確認すべきは、所有権の登記状況や共有者の有無です。相続登記が未了であったり、他の相続人との共有になっている場合は、事前に法的整理が必要です。

また、土地の境界線が不明確な場合、測量士による境界確定測量を行うことが求められることもあります。

買主が安心して購入できる状態を整えて、売却に良い影響を与えましょう。

4-2 相場を確認する

土地や建物の状況や最寄り駅、周辺施設などにより価格は大きく異なります。市場に出す前に、エリアの相場感を把握しておくことが重要です。

不動産一括査定サイトを活用したり、地域に強い不動産会社へ相談することで、相場価格を的確に知ることができます。

相場を無視した価格設定は、売れ残りの原因となるため注意が必要です。

4-3 空き家の片付け・残置物を整理する

家の中に大量の家具や私物が残っていると、買い手の印象は大きく損なわれます。

不要なものは処分し、室内をすっきりとした状態に整えることが、良い印象を与えるコツです。遺品整理業者や不用品回収業者を活用して、効率よく掃除しましょう。

ハウスクリーニングを行えば、さらに印象アップが期待できます。

4-4 依頼する専門家を選ぶ

空き家の売却には、不動産会社や司法書士など、複数の専門家の協力が必要になります。

専門知識のある信頼できる専門家を選ぶことで、トラブルの回避や節税対策が期待できます。売却のタイミングや相続の手続きなどのアドバイスを受けるとよいでしょう。

依頼する専門家を選ぶときは、複数社に相談し、実績や対応の丁寧さを比較検討してから選定することをおすすめします。

第5章 空き家の売却活動の流れとは?

実際に空き家を売却する場合、どのような手順で進むのかを知っておくと安心です。全体の流れを押さえておくことで、トラブルの防止にもつながります。

では、空き家の売却活動の流れを見ていきましょう。

STEP① 不動産会社で物件調査が行われる

まず、不動産会社が物件の現地調査を行います。

築年数や建物の構造、隣接地との関係など、詳細なチェックを経たうえで空き家の査定価格が提示されます。

物件調査の結果によって、売却戦略や広告の方向性が決まるため、複数社に依頼して比較しましょう。

STEP② 不動産会社と媒介契約を結ぶ

次に、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約は「一般」「専任」「専属専任」の3種類があり、それぞれ売却活動の自由度や報告義務に違いがあります。

契約種類特徴
一般媒介契約複数社に並行して依頼できるが、各社の対応が分散する可能性がある
専任媒介契約積極的な販売活動や進捗報告が受けられるが、一社に絞って依頼しなければならない
専属専任媒介契約不動産会社が積極的に売却活動を行ってくれるが、売主自身で買い手を探せない

売却のスピード重視か自由度重視か、自分の希望に合わせて最適な契約形態を選ぶことが大切です。

STEP③ 売却活動が始まる

契約締結後は、チラシ配布や不動産ポータルサイトへの掲載などによって空き家の売却活動がスタートします。

できるだけ早く空き家を売るためにも、内見希望者への対応や魅力を伝える写真・キャッチコピーなどの工夫も重要です。

売主も必要に応じて現地対応を求められるため、協力体制を整えておきましょう。

STEP④ 買主と売買契約を結ぶ

購入希望者が現れたら、売買契約書を取り交わします。

契約前には物件の傷や欠陥について説明する義務があるため、不具合は正直に開示しておきましょう。この時点で手付金が支払われ、双方の合意が法的に成立します。

STEP⑤ 物件の引渡しが行われる

決済と同時に、所有権の移転と物件の引渡しが行われます。

鍵の受け渡しをする前に、電気・ガス・水道などの解約と名義変更を忘れずに行いましょう。また、所有権の移転は司法書士に依頼すると安心です。

引渡し時には建物の状態を確認してもらい、問題がないことを双方で確認しましょう。

STEP⑥ 確定申告をする

空き家を売却した翌年は、確定申告が必要です。

3,000万円特別控除などの特例を適用する場合は、譲渡所得の内訳書や戸籍の附票の写しなどの書類を揃えておきましょう。

書類に不備があった場合は、手続きができない可能性があるため注意が必要です。

第6章 空き家を高く・早く売るためのコツ

空き家を少しでも高く、かつ早く売却するには事前の工夫と準備が大切です。買い手にとって、魅力的で安心して購入できる物件となるようにから整えておきましょう。

では、空き家を高く・早く売るためのコツを紹介します。

6-1 権利関係・登記を整理しておく

相続登記が未了のままでは売却手続きそのものができません。

未登記の相続不動産や越境問題がある場合は、売却前に専門家に相談して法的リスクを解消しておきましょう。

売却直前に慌てるよりも、早めに司法書士へ相談することをおすすめします。

6-2 地元に強い不動産会社を選ぶ

地域の特性を理解している不動産会社は、地元の買い手ニーズや土地の利用傾向を熟知しており、ニッチなニーズにも応えることができます。

また、自治体独自の空き家対策や補助金制度に詳しいことが多く、対象物件であればスムーズに制度活用のアドバイスを受けられる点も強みです。

同じ物件でも地場の会社と全国対応の会社では、販売力や広告戦略が異なるため、実績をしっかり比較しましょう。

6-3 空き家管理サービスで清潔感を維持する

物件の印象は、第一印象でほぼ決まります。見学者に「大切に扱われている物件」である印象を与えることができれば、購入意欲が高まりやすくなります。

空き家をこまめに掃除ができない場合は、空き家管理サービスを利用することもおすすめです。空き家管理サービスは、定期換気や通水、防犯巡回、郵便物の処理など多岐にわたる対応が可能です。

定期的な換気・清掃を業者に委託することで、劣化や臭気の発生を防ぎ、見た目の印象も大きく改善します。

売却前の資産価値維持にも直結するため、内見時の好印象につながるでしょう。

まとめ:空き家を売却するなら正しい知識と準備で進めよう

空き家は、放置してしまうことで余計な費用やトラブルを抱えるリスクがあります。

空き家を売却するタイミングを見極め、正しい知識と信頼できる専門家の力を借りることで、有利に売却を進めることが可能です。

空き家は負債ではなく、賢く動けば大切な資産となります。相場や税制、補助金制度の情報を押さえて、早めのアクションを心がけましょう。

「住まいの賢者」では、司法書士法人と連携し、土地の価格調査から相続登記、相続税申告サポート、不動産売却のご相談まで一括でサポートしています。

不動産の売却を検討している方は、お気軽に無料相談をご利用ください。

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この記事の監修者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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