実家の売却に後悔しない!うまく進められるコツと代替方法を紹介

実家の売却に後悔しない!うまく進められるコツと代替方法を紹介
監修者: 中西孝志

はじめに

両親が他界し、誰も住まなくなった実家。空き家の管理や税金の負担が重く、売却を考え始めたものの、思い出が詰まった家を手放すことに寂しさや罪悪感を感じていませんか?

この記事では、実家の売却で後悔しないためのポイントや注意点を、具体的な事例を交えて解説します。

1章 実家を売却して後悔する3つの理由

実家売却には、精神面・金銭面・人間関係面の3つの面で後悔を招く要因があります。

実際、売却後に「もっと考えてから決めればよかった」と感じる人は少なくありません。ここでは、実家売却で後悔しやすい3つの理由を詳しく見ていきましょう。

1-1 思い出の詰まった家を手放す寂しさと罪悪感が生まれたから

実家には、家族との日々や人生の節目となる思い出がたくさん詰まっています。そのため、家を売るのは思い出を捨てるのと同じような気がすると感じ、心が追いつかないことがあります。特に親が大切にしていた家であればあるほど、申し訳ないという感情が湧いてしまうのは当然のことです。

しかし、その気持ちを抱えること自体が、家族や家に対する深い愛情の証です。無理に感情を切り離そうとせず、気持ちの整理をしながら、じっくりと売却を考えることが後悔を防ぐ第一歩となります。

1-2 手続きや相場をよく調べず準備不足で金銭的損失を被ったから

実家売却でよくある後悔の一つが、事前にもっと税金や売却額について調べておけばよかったという、金銭面での失敗です。

たとえば、譲渡所得税の特例や控除制度を知らずに、本来なら支払わなくて済む税金を負担してしまったケースは少なくありません。また、不動産の市場相場を把握しないまま査定額を鵜呑みにして、相場より安く売却してしまったという例もあります。

さらに、必要な書類の準備不足や登記の遅れなど、手続きの抜け漏れが原因で、売却がスムーズに進まなかったり、追加費用が発生してしまうこともあります。

こうした金銭的な後悔は、事前の情報収集と準備で十分に回避できます。少しでも不安がある場合は、専門家に相談することも選択肢の一つです。

1-3 家族間で意見の食い違いによるトラブルが発生したから

実家売却は、家族にとって感情的にも大きな出来事です。そのため、「売る」「残す」「誰が管理するか」といった方針について、遺された家族間で意見が食い違うことがあります。

特に遺産分割が絡む場合は、それぞれの立場や思い入れが異なるので、話し合いが難航しやすくなります。

実際に「話し合いがこじれて売却が数年も遅れた」「関係が悪化して疎遠になってしまった」という事例もあります。こうしたトラブルは、早い段階から話し合いを重ねることで、ある程度回避することが可能です。

2章 実家の売却を後悔しないために前もってできる4つのこと

実家の売却で後悔しないためには、売却後に感じるであろう感情やトラブルを事前に見越して準備することが大切です。特に家族との話し合いや税金対策、思い出との向き合い方など、心と手続きの両面からの対策がポイントになります。

ここでは、売却をスムーズに進めるために、前もってできる4つの具体的な行動をご紹介します。

2-1 家族全員で話し合う

実家の売却は、本人だけの問題ではなく、家族全体に影響する大きな決断です。だからこそ、早い段階で家族全員が集まり、率直に意見を出し合う場を設けることが大切です。

例えば、遺族の中で「残しておきたい人」「売却したい人」が分かれている場合、感情的な対立が生まれやすくなります。そうなる前に、現状を冷静に把握し、互いの希望を尊重しながら話し合うことで、無用なトラブルを防ぐことができます。

全員が納得できる方向性を見出すことが、後悔のない実家売却への第一歩です。

2-2 思い出の品の整理や形見分けして感情を整理する

実家には、両親が残した家具や写真、手紙など、たくさんの思い出の品が眠っています。それらを整理する作業は、感情の整理にもつながります。

まずは、捨てる・残す・譲るという3つの基準で仕分けを行い、必要に応じて家族で形見分けを行いましょう。写真やアルバムはデジタル化することで、保管スペースを減らしつつ思い出を共有することも可能です。

ちゃんと向き合って整理したという実感があることで、後悔せずに売却できたと前向きな気持ちになりやすくなります。

2-3 税金や費用の知識と節税対策を身に付ける

実家を売却する際には、譲渡所得税や相続税など、思った以上に多くの税金や諸費用が発生することがあります。これを知らずに売却を進めると、思わぬ税金の負担に後悔する可能性もあります。

たとえば、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」などの制度を利用すれば、大幅に税負担を軽減できるケースもあります。しかし、これらの特例は申請の期限や条件が細かく決められており、知識がないと見逃してしまうこともあるので注意しなければなりません。あらかじめ制度の概要を理解し、必要であれば税理士などの専門家に相談するのが安心です。

2-4 信頼できる不動産会社を選ぶ

実家を納得のいく形で売却するには、不動産会社の選定が非常に重要です。一社だけに頼るのではなく、複数の会社に査定を依頼して比較することで、相場感が掴めるだけでなく、営業方法や対応の丁寧さも見えてきます。

特に、地域の市場や売却事例に詳しい業者は、的確なアドバイスをくれることが多く、売却の成否に大きな差が出ることもあります。口コミや紹介なども参考にしつつ、売却を任せられると思える会社を選びましょう。

焦って選んだことでもっと良い条件で売れたかもしれないと後悔しないためにも、慎重に見極めることが大切です。

3章 実家を売却しないことで生まれる4つのリスク

「思い出があるから」「まだ決心がつかないから」と実家の売却を先延ばしにする気持ちはよくわかります。しかし、放置された空き家には、さまざまなリスクが潜んでいます。ただ感情的な理由だけで所有を続けると、後々さらに大きな負担や後悔につながることもあるのです。

ここでは、実家を売却しないことで生じる4つの代表的なリスクを解説します。

3-1 空き家の管理が負担になる

実家を空き家のまま残しておくと、定期的な管理が必要になります。

誰も住んでいない家でも、換気・清掃・庭の手入れなどを怠ると、建物の老朽化が進んでしまいます。特に遠方に住んでいる場合、管理のために時間と費用をかけるのは大きな負担です。

さらに、建物が劣化すると見た目の印象が悪くなり、いざ売却しようとした時に価格が下がってしまう原因にもなります。売るなら早いうちにという考え方が、結果的に資産を守ることにもつながります。

3-2 「特定空き家」に指定されると固定資産税が増加する

放置された空き家が老朽化し、近隣住民にとって危険や迷惑な状態になると、「特定空き家」に指定される可能性があります。この指定を受けると、通常6分の1に軽減されている固定資産税の優遇措置が外れ、税額が大幅に増加することになります。

倒壊の恐れや危険がなかったとしても、現状管理されておらず、将来的に特定空き家に移行しそうな空き家は「管理不全空家」に指定されます。これは、令和5年に空き家対策推進の一つとして定められた区分で、空き家に対して行政が早期に介入して管理を促す目的があります。

どちらも一度指定されると改善指導や行政代執行の対象となることもあり、金銭面だけでなく精神的なストレスも増えてしまいます。

実家の売却を迷っている場合は、空き家の状態や将来のリスクを一度見直してみることが大切です。

3-3 災害時に老朽化による倒壊の危険性がある

実家を空き家のまま放置すると、建物の老朽化が進み、地震や台風などの自然災害時に倒壊の危険性が高まります。特に築年数が古く、耐震補強がされていない住宅では、倒壊によって隣家や通行人に被害を与える可能性もあり、所有者が責任を問われるケースもあります。

また、瓦や外壁材の落下など、見た目にはわからない劣化部分が原因で事故が起こることもあるので注意が必要です。こうしたリスクは、空き家に定期的に人が入らず、メンテナンスが行き届かない状態であるほど高まります。

まだ大丈夫だろうと油断せず、実家の構造や安全性を確認して必要な対策を検討することが、安心と後悔防止につながります。

3-4 空き家が犯罪の温床となる可能性がある

人の出入りがない空き家は、不審者のターゲットになってしまいます。空き巣や不法侵入、さらには不法投棄や放火など、犯罪に利用されるリスクが高まるのです。

また、草木が伸び放題になった庭や、郵便物が溜まったポストは誰も住んでいない家であることを周囲に示してしまい、防犯上、非常に危険です。近隣住民にも迷惑がかかって地域との関係が悪化してしまうケースもあります。

こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、空き家のまま放置するという選択肢が本当に最善なのか、改めて考えることが重要です。

4章 実家売却を後悔なく進めるための3ステップ

実家の売却は、一度決断すればすぐに終わるものではありません。相続登記や契約書類の準備、不動産会社とのやりとりなど、多くの手続きが必要になります。

段取りを間違えると、時間がかかったり、不要なトラブルを招いてしまうことあります。

ここでは、実家を売却するときの後悔を避けるために、スムーズかつ安心して進められる3つのステップをご紹介します。

STEP① 相続登記や必要書類の準備

実家を相続した場合、まず行うべきは相続登記(登記名義の変更)です。相続登記を済ませていないと、売却手続きが進められません。また、相続人全員の同意書や遺産分割協議書、本人確認書類など、多くの書類を整える必要があります。

登記が完了していない状態で売却話を進めてしまうと、後から手続きが滞って契約が流れたといった後悔につながることもないとは言い切れません。

STEP② 不動産会社との契約

書類の準備が整ったら、信頼できる不動産会社と媒介契約を結びます。この段階では、複数の会社に査定を依頼して、対応の丁寧さや提案内容、地域への理解度を比較するのがポイントです。

媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分に合った契約形態を選ぶことで、スムーズに売却活動を進められます。

契約内容は細かく確認し、不明点は必ず質問しましょう。納得のいく形で契約を結ぶことが、後悔を防ぐ重要な一歩です。

STEP③ 売却から引き渡し

不動産会社との契約を終えたら、いよいよ売却活動が本格的に始まります。

購入希望者が現れたら内見の対応や価格交渉を行い、売買契約を締結します。その後、残代金の受け取りと同時に物件の引き渡しを行うという流れです。

この段階で気をつけたいのは、契約内容や引き渡し時期に関するトラブルです。聞いていた条件との相違や準備不足にならないよう、契約書の内容は細かく確認して、不明点は不動産会社や専門家に確認しましょう。

また、売却益にかかる税金の申告も忘れてはなりません。売却後の確定申告や、必要に応じた納税も含めて、最後までしっかり対応することで、実家売却のすべてのプロセスを後悔なく終えることができます。

5章 実家を売却する以外の選択肢

実家の売却は必ずしも行わなければならないわけではありません。状況や家族の考え方によっては、売らずに有効活用する方法や手放す別の手段もあります。

売却することに後悔を感じる方は、他の選択肢を知ることで気持ちが軽くなることもあるでしょう。ここでは、実家を売らずに活用・処分する4つの方法をご紹介します。

5-1 賃貸物件として貸し出す

賃貸として運用すれば、実家を手放さず、さらに収益を得ることが可能です。リフォームが必要な場合もありますが、空き家として放置するよりも建物の劣化を防げるというメリットもあります。

最近では、古民家をリノベーションして貸し出す古民家再生も注目されています。古民家の活用は地域活性化にもつながるため、社会的意義も大きいでしょう。

5-2 自分が住む

転居を検討できる場合は、実家に自ら住むという選択肢もあります。賃貸物件での生活よりも住居費を抑えられるうえ、思い出のある家で新たな生活をスタートできる点が大きな魅力です。

ただし、築年数が古い場合はリフォームや耐震補強が必要になることもあります。実家に住む場合は、家の整備費にかかるコストやライフスタイルのバランスをよく考える必要があります。

5-3 寄付する

地域の自治体やNPO法人に実家を寄付するという方法もあります。ただし、どの団体でも手放しで受け取ってくれるわけではなく、立地や建物の状態によっては断られることもあります。

しかし寄付が認められると、維持費や管理の手間がなくなり、社会貢献にもつながります。思い出のある家を有効活用してもらえるという点でも、心の整理がしやすくなるかもしれません。

5-4 相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年に始まった相続土地国庫帰属制度は、一定の条件を満たせば、不要な土地を国に引き取ってもらえる制度です。管理が困難な空き家や土地を手放したい人にとって、非常に有効な選択肢になるでしょう。

ただし、建物を解体して更地にする必要があるなどの条件があるため、申請前に制度内容を確認する必要があります。とはいえ、売却以外の現実的な手段として、今後注目される制度の一つです。

まとめ:実家の売却を後悔しそうなら専門家へ相談しよう

実家の売却には、感情的な葛藤から複雑な手続き、税金の問題、家族間の調整まで、さまざまな課題がつきものです。だからこそ、あいまいな気持ちのまま決断してしまうと、後々大きな後悔につながることもあります。

しかし、適切な準備と情報収集、そして信頼できる専門家のサポートがあれば、不安をひとつひとつ解消しながら、スムーズに進めることができます。

たとえば、「住まいの賢者」などの専門サービスを活用すれば、無料相談や一括査定が受けられるだけでなく、あなたの状況に合ったアドバイスも受けられます。税金や登記、売却後のフォローまで、ワンストップでサポートしてもらえるため、初めての人でも安心です。

迷いや不安があるときこそ、信頼できる専門家に頼ることが、後悔しない選択への第一歩です。大切な実家だからこそ、納得のいく形で未来へつなげていきましょう。

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この記事の監修者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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