目次
はじめに
空き家の活用は、今や多くの人にとって避けて通れないテーマとなっています。
総務省による令和5年住宅・土地統計調査によれば、日本全国にある空き家の数は約900万戸にのぼります。これは日本の全住宅の約13.8%を占めており、年々増加傾向にあるのが現状です。
参考:令和5年住宅・土地統計調査/総務省
空き家は所有しているだけで固定資産税や維持費がかかります。時には行政指導にも対応せねばならず、所有者の負担は大きいものです。
しかし一方で、適切に活用できさえすれば、収入源や地域貢献の場にもなり得るのです。
本記事では、空き家をどのように活用するかについて詳しく解説します。
1章 【目的別】空き家・土地の活用方法6選
空き家を活用するといっても、目的や状況によって最適な方法は異なります。
以下は、空き家の活用方法を比較した表です。
活用方法 | コスト | 収益・効果 | 注意点 |
---|---|---|---|
売却して現金化 | 小(仲介手数料・整備費) | 中〜高(市場により差あり) | 売却価格は立地や状態に依存するため、専門家の助言がカギ |
セーフティネット住宅・子ども食堂 | 小〜中(支援制度あり) | 小(収益性より社会的意義) | 補助金の要件確認、住民理解が必要 |
セカンドハウスとして使う | 中(維持管理・光熱費) | 小〜中(生活の質向上・資産保持) | 利用頻度が少ないと費用負担が重くなる |
事務所・介護施設・倉庫に転用する | 中(目的により差が大) | 中(地域需要に応じて安定) | 用途変更に伴う法的制限、補助金の活用可 |
賃貸住宅・駐車場として貸す | 中〜大(リフォーム・解体費など) | 中〜高(家賃収入や月極収入) | 空室リスク、老朽化対応、管理手間あり |
民泊・カフェとして利用する | 大(改装・設備・届出など) | 高(集客次第で大きな収益) | 法令遵守、運営スキル、運営代行も検討可 |
ここから、空き家の活用方法を6つの目的別に分けてご紹介します。
1-1 【早く現金化したい】専門家に任せて売却する
空き家の管理が負担で、早めに手放して整理したいという方にとっては、売却による現金化は確実な活用方法です。
特に、空き家が遠方にあって定期的な管理が難しい場合や、相続人が複数いて活用の方向性が定まらない場合などは、売却によってスムーズに問題を解決できることがあります。売却すれば、固定資産税や修繕費といった維持コストもなくなり、精神的な負担も大きく軽減されるでしょう。
不動産会社に依頼することで、査定から販売活動、契約まで一括して任せることができます。最近では、空き家専門の不動産サービスも増えており、相場よりも高く売れる可能性もあります。
ただし、売却価格が立地や建物の状態に大きく左右される点には注意が必要です。信頼できる専門家に相談し、適切な価格と手続きで進めることが成功のカギとなります。
1-2 【地域貢献したい】セーフティネット住宅や子ども食堂などに提供する
空き家の活用には、収益目的だけでなく地域貢献を重視した方法もあります。代表例として、セーフティネット住宅や子ども食堂が挙げられます。
住宅に困る人向けの賃貸や、子どもへの食事提供を通じて社会的意義が生まれます。整備するための費用がかかりますが、補助金や支援制度を活用すれば、負担を軽減できます。
こうした活用は近隣の理解も得やすく、空き家が地域の拠点となることもあります。空き家を誰かのために活用したい方に適した選択肢です。
1-3 【自分たちで使いながら維持したい】自分や家族のセカンドハウスとして使う
空き家を手放すのは惜しいが放置したくない方には、セカンドハウスとしての活用がおすすめです。
週末の別荘やリモートワーク拠点など、生活スタイルに応じた利用が可能で、自然豊かな場所なら生活の質も向上します。
定期的に使えば劣化防止にもなり、将来は子どもや親族への継承も視野に入ります。ただし、維持費や光熱費はかかるため、利用頻度が低い場合は管理代行の活用も一案です。
1-4 【地域のニーズに応えたい】事務所・介護施設・倉庫などに転用する
地域のニーズに応じた空き家活用として、事務所や介護施設、倉庫などへの転用があります。
高齢者が多い地域では、介護施設としての需要があり、補助金で初期費用を抑えることも可能です。都市部では事務所やテレワーク拠点としての活用も進んでいます。
人の出入りが少ない場所では倉庫として貸すのも一つの選択肢です。ネット通販の拡大により、保管ニーズは年々高まっています。
1-5 【安定した収入を得たい】賃貸住宅・駐車場として貸し出す
空き家を賃貸住宅や駐車場として活用する方法は、安定した収入を得たい方におすすめしたい方法です。
住宅として貸す場合は修繕など初期費用がかかるものの、入居者が安定すれば家賃収入が期待できます。駐車場に転用する方法もあり、賃貸よりは低コストで始められる点が魅力です。
管理委託により手間の軽減も可能で、資産活用の幅が広がります。
1-6 【観光立地やイベントを活かしたい】民泊・カフェとして利用する
観光地近くの空き家は、民泊やカフェとしての活用するのも効果的です。インバウンド需要のある地域では特に有利になります。
民泊は短期宿泊施設として高収益が見込めますが、届出や法令遵守が必要になる点は注意しましょう。カフェは立地次第で集客が期待でき、古民家をリノベーションして観光名所になる例もあります。
どちらも初期費用や運営の手間がかかる点がデメリットですが、専門業者に委託するのも一つの方法です。
2章 空き家を活用する前に確認すべき5つのポイント
空き家を活用する前には、いくつか確認しておかなければならないことがあります。思いつきや勢いで進めてしまうと、予想外のトラブルや費用が発生し、せっかくの活用がうまくいかないこともあるためです。
ここでは、活用を始める前に必ず押さえておきたい5つのポイントを詳しく解説していきます。
2-1 建物の状態
空き家を活用する前に、建物の状態を確認することが重要です。
長年放置されていた場合、屋根や外壁のひび割れ、水回りのカビ・サビ、基礎のゆがみなど、見えない劣化が進んでいる可能性があります。
専門家による現地調査を依頼すれば、必要な修繕の程度を把握できます。構造が健全であれば最小限の修繕で済み、無駄な出費を避けることも可能です。
2-2 立地と需要
空き家を活用する際は、立地と地域の需要を把握することが不可欠です。
駅近や商業地、観光地周辺なら賃貸や民泊、カフェなどに適しやすいですが、過疎地や交通不便な場所では収益性が変わることもあります。
高齢者が多い地域なら介護施設、子育て世代が多ければ学童施設などが好まれるでしょう。このように、人口や居住している世帯を鑑みて、空き家を誰に使ってもらいたいかを明確にすることが大切です。
2-3 登記や相続手続きの状況
空き家を活用する際は、まず登記名義を確認しましょう。名義が故人のままでは、活用や売却、補助金申請などが進められません。
相続登記が済んでいない場合は、相続人の間で所有者を決め、登記を行う必要があります。2024年からは相続登記が義務化され、怠ると過料の対象となるため注意しましょう。
また、相続人が複数いる場合は、活用方針を共有・合意し、法的な整理を行ったうえで進めることが大切です。
2-4 許認可・届出の有無
空き家を賃貸住宅や民泊、事業所として活用する際には、法的な許認可や届出が必要になるケースが多くあります。
たとえば、民泊を始めるには住宅宿泊事業法に基づく届出が必要であり、さらに消防設備の設置や衛生面の基準を満たす必要があります。また、飲食店やカフェに転用する場合も、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。
賃貸住宅として貸し出す場合も、建築基準法や耐震基準を満たしているかの確認が求められることがあります。建物が古い場合は、改修が必要となる可能性もあるため、事前に市区町村の建築課や専門家に相談しておくと安心です。
さらに、活用方法によっては自治体の補助金や助成制度が利用できる場合もあります。たとえば、リフォーム補助金や空き家利活用支援制度などがありますが、これらも事前の申請と条件の確認が不可欠です。
2-5 初期費用と収支見通し
空き家活用では、初期費用と収支バランスの試算が不可欠です。
リフォームや設備投資は活用方法により大きく異なり、数百万円かかることもあります。一方で収益や固定資産税や管理費等も考慮し、回収までにかかる期間や赤字にならないかどうかを検討することが大切です。
専門家への相談や補助金・減税制度の活用も有効です。慎重な計画で無理のない活用を目指しましょう。
3章 空き家を活用するか売却するか?判断するポイント
空き家を手放すべきか、それとも活用するか。どちらの選択肢にもメリットとデメリットがあるため、自分の状況に合った最適な方法を選ぶことが大切です。
ここでは、「活用する場合」「売却する場合」それぞれのメリット・デメリットを整理したうえで、最終的な判断を下すために必要な3つのポイントをご紹介します。
3-1 活用するメリット・デメリットをはっきりさせておく
空き家を活用する最大のメリットは、資産を生かして収益を得られることです。家賃収入や店舗収益、社会貢献など、使い方次第で様々な価値を生み出すことができます。
また、所有していることで将来の利用にも対応でき、家族にとっての拠点として活用できる可能性もあります。
一方で、活用には維持費用や管理の手間が継続的に発生するというデメリットもあります。特に収益化を目的とする場合は、初期投資の大きさと収支のバランスを見誤ると、経済的な負担になってしまうこともあります。
活用を選ぶなら、
- どのくらいの費用がかかり、どのくらいの収益が見込めるのか
- 自分で管理できるのか、委託が必要か
といった点を明確にしておくことが大切です。
3-2 売却のメリット・デメリットもあらかじめ知っておく
空き家を売却する最大のメリットは、早期に現金化できる点です。特に、維持が難しい、管理の手間をかけられない、活用の見通しが立たないといったケースでは、売却によって大きな負担を解消できます。
売却すれば、固定資産税や修繕費などのコストもなくなり、心理的にも気がかりが減ります。相続人が複数いる場合も、売却によって資産を分配しやすくなるという利点があります。
一方で、売却には一度手放すと取り戻せないというデメリットもあります。特に思い入れのある家や、将来の活用可能性が見込める場所であれば、売却を急がず慎重に考えなければなりません。また、立地や状態によっては希望通りの価格で売れないこともあります。
そのため、売却を検討する際は、
- 今後本当に使う予定がないか
- 管理を続ける余力があるか
- 売却価格が妥当か
などを冷静に見極めることが大切です。
3-3 空き家に対する感情面と将来性を把握しておく
空き家をどう扱うか考える際、感情的なつながりや将来的な利用価値を見落とすべきではありません。
思い出を大事にする気持ちは大切です。だからといって放置していると劣化が進み、活用が困難になる恐れもあります。
地域の将来性も含めて慎重に判断し、家族で意見を共有しながら、気持ちと現実の両面を踏まえた納得のいく判断を心がけましょう。
まとめ:空き家を上手に活用したいなら早い行動を心掛けよう
空き家は放置すればするほど、老朽化や税負担、近隣への影響といったリスクが大きくなります。しかし、適切に活用すれば、新たな収入源となったり、地域貢献につながったりする大きな可能性を秘めた資産でもあります。
空き家は「負動産」ではなく、「可能性のある資産」に変えることができるのです。
活用するにせよ、売却するにせよ、大切なのは早めの行動です。
何から始めればいいかわからないと感じる方も多いかもしれませんが、一つ一つ確認していけば、最適な道が見えてきます。まずは建物の状態や法的手続きの確認から始めてみましょう。
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